No.5 狐の嫁入り 感想
・「止めてくれないんだね」
「止めない。止めるのはお前だから」
透き通ったガラスのように透明感があり、同時に脆さと繊細さが詰まった作品。
淡い色合いと思春期のような葛藤の描き方が見事。
別れや離別、失ってから知る、というテーマはともすればチープになりがちなのだけれど、文芸作品のような空気感で丁寧に描かれたこの話が私は大好きです。
・大好きです!死んだ彼女が残された人々に与える影響を丁寧に描かれていて、感動しました。本当に心に響きました。美しい物語に出会えて嬉しいです。
・「さよならだけが人生だ」を死後からみたような話でしょうか(そんな感想でいいんでしょうか)
・中心となる人物と、それを取り巻く人たちの心の動きを追体験できるような感覚になりました!
あるできごとによって及ぼされたささやかな影響が、徐々にならされていく感じが切なくて好きです。
・生と死について強く思考している作品という印象。
死んだアーティストという細い接点を持つ二つの物語が交互に描写されているが、個人的にはミルフィーユ状ではなく二つの塊で物語が置かれていると集中して読めそうだなと思った。でもそうすると、この形式ならではの美しさが崩れてしまうかもしれないので、これはこれで良い気もする。
燈子と傘音みたいな感じの組み合わせはすごく好きなやつです。助かります。
・文章と構成の巧みさにうなった作品でした。めちゃくちゃ小説が上手で、他の作品も拝読したいと思いました!
場面を想像するのに欲しい描写が丁寧にされていて、美しいなあと感じます。
「旅立ちにぴったりの晴れ空に、別れにふさわしい雨模様」という一文が特に好きでした。
・死と別れと再生の話。大事な人が死んだり、離れ離れになっても、前を向いて進むしかないというのが、ストレートに伝わってくる作品。とにかく「痛み」に対して真摯に向き合っているなぁと感じた。描かれているのは喪失を乗り越えるための人間讃歌ですよ。ただまあいかんせん……か、悲しい……。メッセージ自体は非常に前向きなんですけど、シタキリキツネが死んだのが悲しいよ~~~! せっかく仲良くなったふたりがわかれるのが悲しいよ~~~!
・死んでしまったから、表現する術を持たない、ということかな。
しかし死してなお、誰か他の人に言葉を継いでもらえるというのは、それだけの生き様を残してこれたこと自体が、表現なのではないかな、とか思いました。
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