第32話 顔につけるやつ

母と、伯母と、わたしの3人で温泉に行った時の事。

ドライヤーで髪を乾かしていたわたしに、伯母が言った。


「顔につけるやつ、貸して」


「はい」


手元にあったものを、伯母に手渡す。


髪が渇いた時。

伯母が顔を真っ赤にして怒っていた。


「あんたっ!私に何回顔洗わせるつもりっ?!」


伯母が欲しかったのは、洗顔後に付ける化粧水または保湿クリーム。

わたしが渡したのは、洗顔フォーム。


母曰く。


「化粧クリームかなんかだと思ったらしいわよ。随分よく伸びるクリームだなぁって思って伸ばしてたら、そのうち泡立ってきちゃって、慌てて洗い流したんだって」


ごめん。

間違っちゃった。

でも、『顔につけるやつ』には、変わりないよね。

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