第30話 待ち合わせ
川越に、彼と初めて行った時のこと。
池袋のホームで、彼と待ち合わせをした。
待ち合わせの時間の少し前。
彼から電話があった。
今、どこにいるかと。
わたしは、待ち合わせ場所のホームにいたが、なんせ初めての場所のため、『どこ』と言われても、答えるのが難しい。
そして、決定的なミスを犯した。
池袋から乗る予定のその路線は、池袋が発着駅。
その事を知らなかったわたしは、入って来た電車を見て、進行方向を誤って彼に伝えてしまったのだった。
「進行方向の前の方にいるよ」
もちろん、しばらくの間、彼と会う事ができず。
心配になったわたしは、第2のミスを犯してしまった。
それは、むやみやたらと歩き回ること。
わたしが居たであろう場所に彼が着いた時、わたしは既に、別の場所に移動してしまっていたのだ。
その日彼は、しばらくの間、機嫌が悪かった。
以来。
待ち合わせの時やはぐれてしまった時には、
「そこから動くな」
と言われるようになった。
もちろん、素直に従っている。
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