第12話 不運

わたしの身近に、とても不運な人がいる。


まずはじめに。

あれは確か、若貴兄弟による相撲ブームが巻き起こっていたころ。

その人は、千代の富士関の大ファンだった。

なかなかチケットが取れないなか、ようやうくチケットが取れて、大喜びしていた。


その人が観に行く予定だった日の前々日。

千代の富士関は、引退した。



次に。

その人は、サッカーの高木選手のファンだった。

念願のチケットを取ることができ、サッカーの試合を観に行った。


高木選手は、試合開始早々にアキレス腱を断裂し、退場した。



次に。

その人は、プロ野球の落合選手の大ファンだった。

観戦チケットを手に入れ、野球の試合を観に行った。


落合選手は、その日腰痛のため、欠場だった。



次に。

その人は、パンダが大好きだ。

可愛い子パンダ、シャンシャンを見に行きたくてたまらなかった。


1回目。休園日だった。

2回目。整理券の配布が終わっていた。

3回目。ようやく見られたものの、入場制限もあり、時間は僅か。おまけに、シャンシャンはずっと眠っていて、微動だにしなかった。




これらの不運は、次に来るはずの大幸運の下地だよ!

きっと、ね。

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