第7話 特盛

わたしの元同僚(女性)の話。

初めて入った、とある牛丼店にて。


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「並でいいよな?」

「うん」


そう言うと、彼はカウンター越しに店員に注文をした。


「特盛ひとつと、並ひとつ」

「えっ?!」


ずるい。

なんで自分だけ、特盛?!


「わたしも、特盛っ!」

「え?!」


彼は驚いた顔をしたが、わたしは構わず、店員さんに言った。


「特盛ふたつにしてください!」



やがて出てきた【特盛牛丼】に、わたしは目が点になった。


「だから、並にしておけばよかったのに」


彼はあきれて笑っていた。



特盛って、こういうことだったのか。特上と勘違いしてた。


自分で注文してしまった手前、わたしはヒーヒー言いながらも、【特盛牛丼】を完食した。

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