終焉のリバイバル

そこらへんの社会人

第1話 プロローグ

「これは、世界を滅ぼす戦いである」


 厳かな空気の中、きっぱりと彼は言い切った。

 彼は、白銀の鎧に身を纏い、大人の丈ほどある大きな両刃の剣を地面に深々と突き刺している。剣の柄を抑える両の手は漆黒のガントレットが覆っている。白と黒。騎士団長である彼を形容するにはうってつけの二色に違いなかった。


 団長の彼の声に、兵団の面々は静かに頷く。大群である自分たちの軍勢に驕るわけでもなく、士気を損ねているわけでもなく、ただ静かに命を頭に刻む。


 程なくして、「彼」が率いる大軍勢は行軍を開始した。

 足元と天を覆う、純白の雪。

 その中を、一糸乱れぬ隊列で兵団は進行する。

 先頭に立つ「彼」の視線は遥か向こうにある敵地に据えられていた。兵団の中で唯一頭部を無防備にしている彼の金色の髪が、ユラユラと揺れる。


 団長以上の等級のみが使用できる特殊なギフト魔法「全身守勢フルバリア」。本来は指揮官の認識優位性保持と生存率の維持故に使用が義務付けられている魔法。


 しかし、彼はその使用権限を持っていながら魔法の使用を行わないでいた。

 絶対的な殺意と、圧倒的な自信。

 彼にとって大切なものは、痛みと死への恐怖だけだった。

 巨大な剣を背負い、力強い足取りで我先にと言わんばかりの速さで進む。


 全ては、憎きこの世界を滅ぼすために。

 愛するものを奪った、神への裁き。

 

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