ep.34
扉の隙間から漏れ出る白い煙。壁に乱雑に書かれた「助けて」という文字。通路の脇にある扉には薄気味悪いお札が貼られている。
「おぉ、お化け屋敷ってこんな感じなんですねー」
興味深そうに周りを見渡しながら歩く桃華。俺はもう既に雰囲気に飲まれて怖くなっているのだが桃華は気にもせず歩いていく。
やけに大きい扉を開けると小さな祠があり、どうやらそこに3枚のお札を持ってくればここから出ることができるようだ。
祠のある部屋から入口の扉以外に四つの扉があるので、そのうちの三つがお札のある部屋なんだろう。
「簡単そうだな、とっとと行って早く出るか」
「そうですね、早く行きましょうか」
3枚お札を持ってくるだけなら思ったよりも簡単そうで安心する。まぁ、持ってくるまでの道中で絶対に脅かしてきたりするんだろうが、それだけに注意すれば大丈夫だろう。
分かりやすくお札と書いてある扉を開けて中に入ると、少し簡単な迷路のようになっているが奥の方に分かりやすくお札が置いてある。
道中で思っていた通りにお化け役の人が脅かしてきたが、事前に桃華が「誰かの気配がします」なんて超人みたいなことを言っていたので、特に驚くこともなくあっさりとお札を取ることができた。
「案外あっさりと取れたな」
「ですね。なんか、思ったよりも怖くないです。……残りの二つは二手に別れて取りに行きましょうか」
「お、おう。桃華が良いならそれでもいいけど……」
「それじゃあ、また後でここで会いましょう!」
そう言ってお札のある扉の中に入っていく桃華。
お化け屋敷側からしたら二人で行って怖がってもらいたいだろうが、桃華と行くと事前に勘で分かってしまうので仕方がない。
途中で脅かされて情けない悲鳴を上げたが、無事にお札を発見して祠のある部屋に戻ると既に桃華がお札を置いて待っている。
「宇津さん、早く行きましょー」
「はいはい、少し待って」
俺がお札を置くと正面にあった扉が鍵が外れたのかカチッと音をたてて開く。扉の中へ入ると外の光が見えている。
「よし、これでお化け屋敷は終了ですね! 次はどこに行きますか?」
「うーん、……これとかはどうだ?」
入るときに渡されたマップを見て次に行くアトラクションを決めていると、ガラス張りの水中を進んでいくアトラクションがある。ガラス越しに魚を見ることができるようで面白そうだ。
「おぉ、面白そうですね! それじゃあ、次はそこに行きましょうか」
そう言って次の目的地へと向かっていった。
感想・レビュー・評価お待ちしております
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます