ep.2
学期初めということもあり、初日の今日は校長先生の長い話を聞き、クラスの役員などを決めてすぐに解散となった。
黒板を見ると、俺は役員決めの時に寝ていたせいか、いつの間にか図書委員になっていた。寝なければよかった… と後になって後悔する。
ため息をつきながら、これから何をするか考える。買い物と…掃除と…なんて考えていると
「おーい宇津!」
と村田が呼びながら走ってくる。はぁ、何でいつもこいつは、人の名前を大声で呼びながら走ってくるんだ…と頭を抱えながら呼びかけに応じる。
「なんだよ..村田。」
「ん?なんか元気ないな。お前、初日から体調不良か?あれだけ俺が前日はしっかり寝ろよと言ったのに..」
とうんざりしたような顔で言ってくる。
「言ってないのに平気で嘘つくな!体調不良でもないし、こうなった原因はお前だよ..」
「えぇ、俺が?……まぁいいや、今から遊び行こうぜ!」
「よくねぇよ!しかも、前後の文脈繋がってねぇし…… 遊び行くって言ってもどこ行くんだよ?」
「最近、駅の裏にオープンしたカフェだよ!一人で行くのもなんだし、友達がいないお前も誘おうと思ってな。」
「友達を作ってないだけですー。…まぁ、あのカフェは気になってたし、行ってみるか」
チェーン店などではなく個人経営のカフェということで、少し気になっていた店ではあったので誘いにのることにした。
村田からなんで隣の席が橘さんなんだよ、と愚痴られながらカフェへと向かう。
中に入ると全体がモダン調の暗めで落ち着いた雰囲気があり、窓側の席とカウンター席がある。カウンターにはオーナーと思われる女性がコーヒーを淹れていた。客はクマの耳を生やした女性と犬耳をもつ女性の二人のみで混んでいるわけではなかった。
とりあえず、席につき村田がエスプレッソ、俺がカフェラテを頼む。どうやら、このカフェはカウンターの女性一人で切り盛りしているようで、他に従業員の姿は見当たらない。
「あの人、めっちゃ美人だよな」
そう、村田が言ってくる。確かに、黒髪ロングに丸眼鏡。泣きぼくろがあり、深緑色のカーディガンを羽織っている。彼女と店の雰囲気も相まってまるで一枚の絵のように完成されている。すると、彼女はこちらの視線に気づいたのか、こちらを向き微笑んでくる。
「おい!今こっち向いて微笑んでくれたぞ!今の微笑みが見れただけで10年位寿命が伸びた……」
オーバーリアクション過ぎるだろと、笑っていると、注文したものが運ばれてくる。ごゆっくりどうぞ、そう言ってカウンターに戻る彼女に村田は既に夢中なようで、すぐ変わる奴だなと苦笑いしながらカフェラテを飲む。
春先の肌寒い風から体を温めてくれるカフェラテはコーヒーと牛乳の比率が自分の好みと全く同じで、とても美味しい。
今度、時間ができたら一人で来てみようかな、なんてことを考えながら久しぶりに、友達とのゆっくりとした時間を過ごした。
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