帰宅途中で普通じゃない女の子を拾いました
摩擦
ep.1
獣人。今でこそ世界では常識となっているが、その歴史は不明確だ。
文献としては過去50年以降のものが無く、どこで生まれたのかも、いつ現れたのかもわかっていない。
それでもその謎を探ろうとするものはいない。
何故ならそれが普通だから。
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高校に向かう途中、スマホでニュースサイトを見る。トップには兎の耳がついた俳優と女優が結婚した、というニュース。そういえば、この女優あいつが好きだったかなと思っていると、後ろから声をかけられる。
「おーい!宇津ー!」
「なんだよ。村田」
「ネットに張り出されてたクラス見たか? 今年もよろしくな!」
「あぁ、今年もよろしくな。……そういや、お前の好きな女優さん結婚したってよ」
そう言いながらスマホ見せる。村田は結構その女優が好きだったしショックを受けると思ったのだが、あまりリアクションがない。
「あれ、お前この女優好きじゃなかったっけ?」
「いやいや、好きだったけど流れってのはいつの時代も変化し続けるもんなんだぜ?」
と小馬鹿にしたような顔でそう言ってくる。そして、一つの写真を見せてくる。
「うちの高校の一番の美少女である、
「おぉ…、そうだな……」
やけにテンションが高いと思ったら、そんな事か。どうせ、俺らと関わる機会なんてほとんどないぞーと声をかける。
「夢がないなぁ、宇津は。本当に男か?」
「男だよ。でも、流石に橘さんくらいになると彼氏くらいはいるだろ」
確かにそうだよな~、と少し気落ちしている村田を励ましながら学校に向かう。
俺と村田のクラスは2-A。靴を履き替えて、クラスへと向かう。初日と言うこともあり人は集まっていて、各々が仲のいい人同士でグループを作っている。
黒板に書いてある席順を見ると、どうやら俺の席は窓側の一番後ろ。所詮、主人公席というところだ。
そして、今朝村田と話していた橘さんが俺の隣。後で村田になんか言われそうだなと思いながらとりあえず挨拶をする。
「よろしく、橘さん」
「うん!これからよろしくね、瀬見矢くん!」
こちらを見て、微笑みながらそう返してくれる橘さん。確かにこんなに可愛く挨拶を返されたら男子が惚れるのも無理はないなと思った。
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