短編集

@hrogly

10秒間の睡眠

私はベッドで寝ていた。


今日は土曜日で特に用事があるわけでもない。

そして暇だったから昼寝をすることにした。

親は仕事で家にいなかった。

私の部屋はいたって普通の部屋で、ベッドと勉強机が置いてある。

ベッドの横にアラームも兼ねたデジタル時計が置いていて、アラームの機能は朝になってからもう役目を果たしている。

服を脱いで下着になってからパジャマに着替え布団に潜った。

太陽はまだ明るく、窓の外で眩しく光っていた。寝るのには邪魔だったからカーテンで遮ることにした。

それから照明を消し、最後に時計を見てから瞼を閉じた。


けれどまた目を開いた。

眠れなかった。

カーテンを閉めたからといって、完全に太陽光を消すことができなかった。

部屋は薄明るく眠たくなかった。

深いため息を吐いて、布団を勢いよく剥がしベットから降りた。


すると元の位置に戻った。

あれ?

戻っていた。

眠たくないのに寝転んでいた。

立った記憶は鮮明に頭に残っていたけれど、勘違いと割り切ってまた立つことにした。今度はちゃんと立てることができた。

やっぱ勘違いじゃん。

そう思ってドアまで歩いた。


するとまた寝ていた。

!?

どういうこと!?

私はちゃんと起き上がった。そのはず。

今度はよりも素早く起き上がり扉に向かって走った。

そしてドアのドアノブを握ってドアを開けようとすると。

普通に開いた。

あれ、夢なのか。


そしてまた寝ていた。

!?

どうして?

今自分は夢の中なのか?それとも本当に起きているのか?それとも何か特殊な能力に目覚めているのか?はたまた、他の誰かに特赦な能力にかけられているのか?それとも、何か催眠術にかかているのか?それとも宇宙人に囚われているのか?それとも、、

そんな考えがいくつも脳裏を過ぎると私は首を回して辺りを見渡した。


そして元の位置に首がもどっていた。

やばい。

どのような条件か、私は寝てる状態に体が戻るらしい。

首を回してベッドの横に置いてある、デジタル時計を見てみる。寝転んでから時間は経っていなかった。

じっと時計を長く見つめると


頭が元の位置に戻っていた。

時計を素早くみると時間は経っていなかった。

けれどこれでは時間が経っているかわからない。

ちょっと心配だったが、もうちょっと待つことにした。


そして戻って。


戻って。


また戻った。


その間にいろいろなことを試してみたが、全てできた。

ドアを開けることはもちろん。引き出しも、クローゼットも、カーテンも全て開けることができた。

またパジャマを脱いで一張羅になることもできた。

スマホも開けてインターネットのブラウザーも開くこともゲームもできた。

けれどどれもすぐー


元に戻った。

結構な時間が経ったからデジタル時計を見てみると1分も経っていなかった。

えっ。

寒気がした。

時間が進んでいない。急に体が恐怖に侵食された。

怖くなり、体を布団で覆い被さった。頭を隠して。


そして戻った。

ああ、

布団の中から外に放り出された。頭だけ。

体を守っていた体勢から、外に連れ出された。

ああ、

無力な感じがした。

守ることができない、自分を自分がコントロールできない。

ああ、


ほら、戻った。

段々と疲れた。

体は元に戻っているから疲れていないが精神的が疲れた。

頭が重い。

瞼が重い。

寝よう。


そして寝た。


起きたらあたりは真っ暗だった。

太陽は消えていてカーテンの外は街頭の光しか光っていなかった。

起き上がってみると、ベッドが汗でびっしょりだった。下着もパジャマも汗で濡れていた。

デジタル時計が表示していた時間は見た時間と違っていた

けどデジタル時計をじっと眺め、1分が経つのを待つことにした。

。。。

すると時計の文字が変わった。

これほど時計の文字が変わることに喜びを感じたことはあっただろうか。

安堵の長いため息を吐く。

良かった。

また布団に倒れ込む。疲れたぁ。

下からお母さんの呼ぶ声が聞こえる。

私は携帯をとって階段を走り降りた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編集 @hrogly

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る