第13話 日高 霊巌寺の椿


⑬ 日高 霊岩寺の椿


 平成21年4月4日


どうしても椿の花が描きたくなる時がある。


花だけなら庭に咲く椿か近所に咲く五色椿を


描けばいいのだが今回は樹を描きたい。


幹を描きたいのである。


椿は桜のようには幹を描く事は出来ない。


何故なら葉も花も大きくて密集しているために幹は


ほとんど見えないのである。


山に咲く藪椿の大きな物なら別だがここから半日で


行ける範囲で藪椿の林を知らない。


仕方ない。


知っている所に行こうという事になって日高の霊巌寺を選んだ。


何故なら枝垂れ桜をスケッチに行った時に何度も


見ていたからである。


今回は椿を目的に霊岩寺に行く。


もちろん、枝垂れ桜のスケッチもする。


何という種類の椿なのか、花は心持ち小さい気がするし


花の付き方が双子のように付いて居る。


城山カタクリの里へカタクリを見に行った時


金魚椿という椿の花をスケッチしたことがある。


花は幾分大きくて葉が金魚のような形を


していたと記憶している。


ここには白いカタクリの花もあった。


そういえばあのスケッチはどこへ行ったのだろう?


話をこちらの椿に戻すとこの樹はきれいに刈込され


たかのような形になっているので


たぶん樹の形を整えられているのだろう。


巨大な五平餅のようなシルエットだ。


高さも平屋の屋根を越えているし、横幅も結構ある。


樹の影を埋めるように足元はピンクの花で埋まっている。


形はわかっていて、他の樹のように細かくスケッチ出来ないので


見えている幹の形だけスケッチして後はまあるく全体を囲む。


後は布絵にする時適当に緑の葉の中にまんべんなく椿の花を


埋めれば済む。


その樹の持つ雰囲気だけ目の奥に焼き付ける。

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