第12話 後輩の危機と先輩の殺気


月島が弁当を持って来るのが、かれこれ1か月続き、日常の一部となりつつあった。そして今日も


「はい、先輩、今日は自信作です」

「あ、ありがとう・・・・」


んん・・・・やっぱりわからない、なんでこの子は俺に


「おい・・・・」


自分の席に戻ってくるとゾンビのような青葉がいた。


「お前、あの純粋で天使で可愛い月島ちゃんの弱みを握ってるんだろ?

だから、毎日・・毎日毎日・・・くぅ可哀そうな月島ちゃん」


「あのな・・・・もしそうならあんな笑顔で来ないだろ?」

「うぅ・・・だったらなんで付き合ってないんだ?」

「俺もだんだんわからなくなって来た」


そうなのだ、この俺でもあの子がこんなにも尽くしてくるのはなんなんだと思い始めていた・・・・放課後聞いてみるか


昼休みの終わり、いつも通りあいつの弁当を食べ終えると


「先輩、お弁当箱」


いつも通りに月島は弁当箱を取りに教室の入り口に来る


「あぁ月島」

「はい?・・・なんかありましたか?」


俺から話しかけるのはめったにないからか、月島の顔が不安そうな顔になる。


「いやちょっと放課後時間作ってくれ、話したいことがある、別に悪い話とかじゃないから安心してくれ」


できるだけ優しく言った・・・・・・苦手なんだよなぁ


「はっはい」

「俺から月島の教室に行くから」


そう言って、月島は教室に帰っていった。


「つ、ついに告白か?羨ましすぎるぞぅ」

「だから違うって」


はぁ・・・めんどくさい


放課後、月島の教室に行くと


「ん?いない?」


「あっ宮島先輩」

「あっ」


いたのはいつも一緒にいる小太刀と・・・まぁもう一人


「えっと月島は?」

「飲み物買って来るって」

「そうか、じゃあ」


多分あそこの自販機・・・・ッ!?

俺の中で何かが警報を鳴らした。


「ッ!?」

「宮島先輩!?」


俺は教室を飛び出し、


「ふっ!」


2階の廊下の窓から飛び降りた。


「嘘!?」

「なにやっての!?あの先輩!?」


そしてあの人気のない自販機へと向かった。

そこには俺の予想通りの光景が広がっていた。


「ひ・・・ぅ・・・」


制服を引き裂かれ、下着同然の月島、それを囲むこの前の半グレ共


「ひひ、もう我慢できねぇからよぅ」

「誰かにチクったらどうなるかわかるよなぁ」


「ひ・・・ひ・・・」


月島は恐怖と涙で顔はグシャグシャだった。


「お前、宮島のこと好きなんだろ?その前に俺たちが教えてやるよ」

「いひひひ」

「2番目は俺にやらせてくださいよ、先輩」

「わかってるよ、1万な」




「ほう・・・じゃあ3万出すから俺から先にやらせてくれよ」




「「「!!!???」」」


その場全員の視線が俺に集まる。


「お、お前は!?」

「いいよなぁ、ここは人があんまり来なくてよぅ・・・やりたい放題できる」


「ひっ・・・ひぃ」


自分でも恐ろしい程の殺気の含んだ声が出た。

怒りがまるで火山のマグマのように上がって来る、なんだこれは?

こんな感覚は初めてだ。

俺は、これでも無心でヤル男なんだが・・・・・・


「もうヤッちまったのか?」

「ひ・・・ひぃ」

「おい、お前に聞いてんだよ・・・ヤッちまったのか?」


この前のリーダー格の奴に俺は言う。


「い・・・・いえ・・・ま・・・まだ・・・です」

「そうかそうか・・・・じゃあこれからなのか」

「どうぞどうぞ!こいつまだ処女なんで!」


何を勘違いしたのか、そいつはそんなふざけたことを言ってくる。


「そうか・・・じゃあまずお前からだな」

「・・・・・・・はい?」

「下半身麻痺がいいか?それとも失明がいいか?あぁ全身麻痺でもいいぞ?」

「・・・・??・・・・・ひっ!?」


ザッザッ


俺はリーダー格の男にゆっくりと近づいていく・・・・


「さぁ・・・・どれがいい?」


ドサ!


「ひぃ・・・ひぃ!!」


尻もちをついて後ずさりするクズ・・・・ヤリがいがないなぁ


ジョロロロロロ


「ん?」


「あ・・・あぁ・・・」


子分共はその年で漏らすか・・・・


「おい」

「ひぃひぃひぃひぃひ」


もはや過呼吸になってるなこいつ


「月島は俺の女だ、次、俺や月島の視界に一瞬でも入ってみろ、

どうなるか・・・わかるよなぁ?」


「ひぃーひーひぃー!!」


まるで壊れた人形のように縦に首を振る。


「・・・・・・・・」ブクブク


泡を吹いて気絶しやがった、情けねぇな・・・・他の子分も気絶してやがる。

はぁ・・・さて後は


「ぐす・・・ぐす・・・せ、せん・・・ぱい」

「大丈夫か?・・・なわけないか、制服を破られた以外にされたことはないか?」

「ぐす・・・ぐす」


月島はゆっくり首を縦に振った。

ギリギリセーフ、何も奪われてないようだ。


「とりあえず、これを羽織れ」

「あっ」


俺は下着姿の月島に上着を羽織らせた。

すると


「ゆかり!?」

「大丈夫!?」


あの2人が来た、俺はもう用済みだな


「かなり不安がってる、

お前らで介抱してやれ、体は大丈夫だが精神面がボロボロだ」


俺はそう言って立ち去ろうとする。


「せ、せんぱいまって!」

「ん?」


いきなり月島が声を上げた。


「せ・・・せんぱい・・・行かないで・・・お願い・・ぐす」

「・・・・・・・・・」


「宮島先輩、ゆかりがそう言ってるから近くにいて」


「ゆかりちゃんが先輩に言ってるんです、傍にいてください。

私、ゆかりちゃんの体操着持って来るんで」


「・・・・・・・・わかった」


その後、少し落ち着いた月島は友人2人に支えられながら家に帰っていった。

あのクズ共は知らねぇが、もう大丈夫だろう、心をもうズタズタにしたからな。

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