第5話 自分を大切にしない少女



チュン・・・チュン・・・


「朝?・・・・あれ?・・・私・・・」


カーテン閉めないで寝ちゃったからなのか、朝日が差し込んできた。


「えと・・・あっ先輩・・・・ん?」


机の上に手紙があった。


「安全確認できたから帰る、カギは閉めてポストの中に入れた」


え?先輩にカギのおいてある所なんて言ってないのに・・・

・・・・殺し屋さんだからすぐにわかったのかも


「うーん・・・・はぁ・・・・」


なんかよく眠れた気がする・・・・

目覚ましを見ると午前11時、ちょっと寝すぎちゃったかな?

でも、すごく気分がいい♪

よし、今日のご飯は豚の生姜焼きにしよ♪


私は、洗面台で歯磨きして顔を洗って、髪を整えて薄くお化粧をして、

買い物に行こうとドアに手をかけた。


カチャ・・・


あれ?カギ・・・変わってる?

・・・うん、少しさび付いていたカギが、綺麗な銀色の鍵になってる。

・・・・・・?明日、先輩に聞いてみよう。


そう思いながら外に出た。

しっかり鍵がかかったか確認して


ガヤガヤ


私は街中をトコトコと歩く。

向かってるのは、いつも使ってる安くて大きいスーパー「サワダ」


「・・・今日は大丈夫かな?」


そう思っていたら


「君可愛いねぇ、ちょっとお茶しようよ、奢るからさぁ」

「いえ買い物の途中なので、結構です」

「そうなの?じゃあ荷物もってやるよ」


いきなり建物の陰から男の人が話しかけて来た。

あぁ・・めんどくさい、なんで私に話しかけてくるの?

お化粧も最低限の安物だし、服だって古着の安い物を組み合わせただけだし、

・・・私よりも綺麗で可愛い人なんて沢山いるのになんで?


「あっ」

「ん?ゆかり♪どうし・・・おい」


そこに通りかかったのは、美紀ちゃんだった。


「んだよ!俺はお前じゃなくてこの子に―――ッ!?」


美紀ちゃんは男の人の胸倉を掴んだ。


「ゆかりは私の大事な友達なんだよ、お前みたいな不細工男はとっとと消えな!」

「は、はいぃぃ!!こぇぇ!」


「ったく、大丈夫かよ?」

「うん、ありがとう」

「この通るってことは、サワダ?」

「そうだよ」

「ったくなんで、こんな昼間でもこの暗い道通らないと行けないの?」

「仕方ないよ、あっ美紀ちゃん今夜時間ある?」

「あぁ暇よ」

「今日、豚の生姜焼きにしようと思ってるの、一緒に食べない?」

「マジ!?ラッキー!ゆかりのご飯すごく美味しいから!」

「くすす♪大げさだよぅ」


それから、私と美紀ちゃんはサワダで買い物して、会計する時


「待って」

「?」


美紀ちゃんは財布と手にしようとした私の手を止めた。


「これで」


美紀ちゃんは強引に会計を自分のクレジットカードで済ませちゃった。


「ゆかり、約束したでしょ?」

「・・・・うん、でも―――」

「でもじゃないの、友達、なんだから」

「・・・・・・ありがとう」

「じゃあ帰ろ」

「うん」


そう、私たちは友達だから


それから私と美紀ちゃん、それからどうせなら亜紀ちゃんもってことで

美紀ちゃんが誘ったら、「行く」の2つ返事で3人で夕食を食べることになった。


小さな台所では1人分のスぺースしかないから、料理は全部私がやって

その間にお皿とかテーブルを拭いたりするのは2人がやってくれた。


先輩に言った食器の予備は美紀ちゃんと亜紀ちゃんの物だった。

テーブルは、押し入れの中に小さなテーブルがあってこれも用意してくれた物、

・・・・ごめんね、昨日の先輩の食器は美紀ちゃんのを使わせてもらっちゃった。

でも、ちゃんと洗ったし、大丈夫


「そう言えばゆかちゃん、カギが変わってたけど?」

「あっうん、いつの間に変わってた」


「え?ちょっと!それってやばいんじゃない?」


「そうよ!変な奴が勝手に・・・ゆかちゃん、家にやっぱり住みなよ!

部屋なら開いてるから!」


「あっ大丈夫、多分宮島先輩が付け替えてくれたから」


「え?」

「は?」


「あっ2人にはまだ話してなかった、昨日ね―――」


私は先輩が殺し屋さんの部分は除いて、昨日のことを話した。


「あの宮島先輩が?」

「マジ?」


「うん、その後ここに泊まって―――」


「泊ったの!?」

「ここに!?」


「え?う、うん」


2人ともすごい顔で私を見た。


「変なことされなかった?」

「う、うん大丈夫だったよ」


「明日、ちょっと話をする必要がありそうね」

「そうね、大事なことだわ」


「2人とも大丈夫だったんだからそんなに―――」


「ゆかり!」

「ゆかちゃん!」


「は、はい」


「お願いだから自分を大事にして」

「そうよ、大事にして」


「わ、わかったよ」


昔から2人にそう言われてるけど、私って少しおかしいのかな?

怖いとか色々思うことはあるけど、死んじゃってもいいかな?って思う時もある・・・やっぱり少し私っておかしいの?

そう思ったけど、すぐに忘れちゃった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る