第10話 通販

「じゃあハイ・エルフとか竜人族の血を引くハイ・ヒューマンで決まりね!」


「ハイ・ヒューマンって今より大柄だったっけ?」

「眞理央は今より20cm伸びて身長202m、カナは15cm伸びて183cmね!ハイ・エルフの血で寿命も伸びるし老けないから関節痛に悩まされることもないよ。ハイ・エルフとか竜人族の血で上位魔法も使えるようになるから」


「盛りすぎじゃないかな?」

「カナはギックリ腰の痛さを知らないから…髪が薄くなっていく悲しさも知らないし」

 父さんが涙目だった。そんなに悩んでいたとは…からかってごめん。


「じゃ、じゃあハイ・ヒューマンで!」

「オッケー、明日起きたら大きくなってるからね。この家も種族合わせる?流し台とかスイッチの位置とか全体的に10cm上に出来るよ」

「そうしてもらおうか」

「ありがとう」


 これは本当に助かる。もともと父さんも私も大柄なので旅行で古い旅館に泊まった時、流し台の低さに腰が折れそうになるのだ。


「今日は時間が半端だからあとはインターネット通販とか家電の使い方を確認して終わろうか?」

「ネットスーパーと基本は同じかな?」

「そう、決済画面で残金が不足していると入金口が出てくる仕組み。入金したお金はネットスーパーと共有だよ」

「じゃあさっそくハナとアルバロの食器類を買ってみようか」

 アルバロのお茶碗、お箸、お椀、ハナ専用のフォークとスプーンにサイズ違いの丼。


 アルバロは有田焼と漆器が気に入ったようでちょっと良いものを揃えた。


「ハナちゃんはどれにしようか」

ハナを膝に乗せて画面をスクロールする。

「ハナこれがいい!」


 ハナが可愛い子熊ハンドで指した食器は愛犬時代のブランケットに似た柄のシリーズだった。

「ハナのブランケットに似てるね」

「うん!」

「じゃあこのシリーズをカートに入れて…」


「カナ、枕だ」

「枕?」

「もう若返ったから加齢臭はしない。だから新しい枕だ」

「はいはい」

「お急ぎ便でな!」

言われるがままカートに入れた。


「それからハナとアルバロの布団とアルバロのパジャマもだ」

「僕のも?」

「ああ、部屋は余っているんだし、わざわざ夜だけ帰ることもないだろう」

「いいの?嬉しいよ!」


 父さんのアルバロへの好感度が上限突破してるけど異論はない。ハナを可愛がってくれてるんだからアルバロは良いやつだ。

 新しい生活に必要なものを一通り注文するとお急ぎ便で頼んだ枕だけ届いた。残りは明日になるようだ。



「ハナちゃん、枕を変えたから今日はパパと眠ろうね!」

「うん」

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