第2話 アルバロ登場

「僕から説明するよ」


 濃いめのイケメンが現れた。かなり濃いけどラテン系で私のタイプだ。


「Álvaro(アルバロ)!」


 シロクマのハナがイケメンをアルバロと呼んだ。フランスで実習してた時に同僚だったスペインの男友達と同じ名前だ。アルバロは用心深いとか保護者の意味だって聞いたことがある。



「あなた誰ですか?いくら田舎でも知らない人が家の中にいたら驚きますよ?警察呼びましょうか?」


「マリオ、残念ながらここは君たちの世界じゃないんだ」


 父さんの名前を教えていないのにマリオと自然に呼んだ。父さんと私が固まっていると、父さんの腕から飛び出したシロクマのハナがアルバロと呼んだ男性に抱きついた。



 父さんの名前は漢字で書くと眞理央。ラテン圏でも同じ名前がある。ヘブライ語が起源の名前で、神に愛されたという意味があるらしい。

 地元のリゾートホテルで料理人をやっている父さんは顔が濃い。海外研修のたびにちょび髭を生やして出かけている。日本から来たちょび髭のマリオという設定だけでだいぶ親切にしてもらえるらしい。

 利用はしているが自分の子供時代にあのゲームが存在しなくて良かったとも言っている。



「ハナは君たちの元で幸せな人生…犬生を終えて転生したんだが不幸続きでね」


 紛争地帯に生まれてすぐに野良犬となって流れ弾にあたって犬生を終えたり、不幸なまま亡くなることが50回も続いたらしい。


「ハナちゃん…」

父さんも私もウルウルだ。


「もう生まれたくないと言って泣くんだよ。無理もないよね」

 アルバロさんが優しくシロクマのハナを撫でる。


「神々一同、困り果ててね。いくらなんでも誕生ガチャに外れすぎだし次はハナの希望を叶えると約束したんだけど、ハナはカナちゃんたちに会いたい以外の希望が無くてね」


「ハナちゃん…」

父さんも私もウルウルが限界だ。


「ハナの希望を叶えると約束したけど生き返らせることは出来ない。世界の理に反するからね。でもハナの望みはマリオとカナの元で暮らすことだけ」


「ハナちゃん…」


「なので僕の世界にハナを転生させて、お2人を家ごと召喚しちゃいました」



── はああ?召喚って何ですか!??

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