始まってもないから終わる訳もない

食連星

第1話

突然、同窓会のお誘いが来た。

20歳になったから、お酒が皆で呑めるやんという事らしい。

高校生の時は…

地味だった。

どっちかというと、中学生が楽しくて、

高校生は…

すっとばかした感じ。

あってもなくてもいいような。


今思えば、何であんな人が好きだったのだろうと。

背が小さくて、全身筋肉がついた感じ。

坊主で眼鏡で。

伝える勇気も無いけど、

気が付けば目で追ってた。

私の熱い視線は多分気が付かれてた。

もっと、おしゃれに気を遣えば良かったのかも。


今、思えば断然冴えない男子も、

クラス1美人な彼女を落としていった。

お似合いよねって言葉を、

どんな気持ちで聞いたら良かったのだろう。


別にただになる訳もない参加費を払って、

誰か仲の良い子がいる訳でも、

気になるお店な訳でも、

何でもない同窓会に、

なぜか参加する事にした。


やばい、

クラスの人の顔と名前が分からない。

アルバムで確認してこようと思ってたのに…

下準備無しで、

同窓会に臨むことになる…


女子は女子でグループになっていたけれど、

いや、

あんまり知らないし…

ちょっと話せる子はいたけれど、

遠方により帰省はしていなかった。


んで、

幹事も抜けていて、

お盆だからさ、

それ以降に生まれ月の人は、

20歳未満で呑むことが出来ず、

呑める人と呑めない人が混在していた…


そうだよね…

そうなるよね。

幹事が呑める人だったら、

まぁいいか。

お疲れさまって事で。


私は呑める人だし、

呑んで帰ろうかと。

空いた席に着いて、

隣の男子に、

どうやって注文するの?

と聞く。

こんな人、同級生にいたっけ…


「最初はビールからだってよ。

この後、呑める人と呑めない人と

数とって注文するって。」

返ってくる。


ビールは苦くて苦手だなぁ。

「分かった。ありがと。」

返事をした。


好きなもの呑んで、

出たコース料理食べて帰りたかった。


いきなり、

手持無沙汰で、

スマホ見るか、

思いっ切り悩んだ。


注文について聞いた男子が、

(多分気を遣って)

「元気だった?」

と話しかけてくる。


多分、

この人と、

こんな事話すような間柄では全くない…

名前すら…

あなた、どなた…?


やる事ないし、

その場が流れるならオールオッケー。


「うん、元気にしてたよ~。

そっちは~?」

にっこり笑って答えた。


スクールカースト底辺は卒業したし。

迷惑かけなけりゃ何やったっていい。


隣の男子の眼鏡グラグラさせちゃったり、

男子の火をつけた煙草をちょっと頂戴って貰ったって、

好き放題可能。


ついでに好きだった男子に、

席3~4個あけて

「私、高校の時に大好きで、

よく見てたんだけど気が付いてた?」

聞いてみた。

目が泳いだ後、笑って、

「気が付いて無かった~。」

言われて、

それはそこで切りが付いて良かった。











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