エンドレスロール:熾天使ベリアル
エンドレスロール OKBハル・兵器廠
紅く靄のかかった、重低音の鳴り響く建屋内。紅い籠手の幼女と、アリシアが相対していた。
「熾天使ベリアル……貴様、吸血人類を模して何のつもりだ」
「活動しやすかった、ただそれだけだ」
「我が真名はシャダイ。沼矛にて掻き混ぜ、新たな命を司る、生命の王なり」
「所詮はボーラスの真似事だろう」
虹彩から光線が放たれ、アリシアは余裕を持って飛び退き、躱す。
「だがボーラスは新たな世界に覇を唱える気はない。ならばその責を、我らが担う。当然のことだろう。案ずるな、我らはお前たちには干渉しない。あくまでも、次の世界を担う迷い子たちを導くだけだ」
光線を再び放つと、黒雷のバリアで跳ね返し、被弾する。
「意図して歯向かうもの、我らを観測できるもの……ありのままの世界には、そんなものは決して現れない。小さな箱庭の中で、永遠に嘯き続けるのだ」
ベリアルは続いて光線を上に放ち、大量の光の柱となって降り注ぐ。アリシアは軽い動作で避けていき、そこへ光で象った視神経のようなものを周囲に伸ばして狙う。アリシアは竜化し、グノーシスとしての姿を現す。その変化の余波だけでベリアルの攻撃を打ち消し、即座に構えて口から白黒の混じった光線を吐き出し、彼を貫く。
「新王、お前が新たな命だった世界は終わった。王龍が世界の理に組み込まれていた時代も……既に旧き世界の存在は、新たな世界の理から外れた脅威となっている」
「だからどうした。妾は新世界に興味などない」
「我らに争う理由など元より無いと言うことか」
アリシアが右前脚を薙ぎ払い、爪から黒雷の刃を五つ飛ばす。ベリアルはその直撃を受けて六等分され、崩壊していく。
「……」
ベリアルは黙して消え去り、アリシアも人間態に戻る。
「ただの時間稼ぎか」
そう唾棄して、背後の部屋でラドゥエリアルと交戦するバロンへ注意を向けた。
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