エンドレスロール:暴虐の造叛者
エンドレスロール 響く暁闇の大地
夕闇が天を覆う丘の上で、叛王龍シュンゲキが佇んでいた。眠っていたようだが、近づいてくる強大な力を察し、真雷を徐にスパークさせる。
「てめえが来たか……!」
シュンゲキは両翼を広げ、両足を踏みしめて咆哮する。現れたのは、人間の姿のホシヒメだった。
「へへーん!道に迷ってたらここに来たよ!」
彼女は屈託のない笑みを見せつつ、拳を構える。シュンゲキは両翼の先端を地面につけ、せわしなく甲殻を動かす。
「行くぜ!」
シュンゲキは飛び出し、中空を高速で突進して着地し、同時に真雷を放出する。ホシヒメはタイミングよく飛び上がり、右拳を構えて落下する。叩きつけられた拳先から凄まじい閃光が迸り、光の噴水が三連続で発生してシュンゲキを襲う。バックステップの回避から、頭部に凄まじい出力の真雷を刃状にして頷く形で振り下ろす。ホシヒメは生身で真正面から受けきり、短い正拳から光の渦を体表に捻じ込み、連続蹴りからの強烈なボディブロー、からの全身を使ったアッパーでフィニッシュする。シュンゲキは大きく仰け反るものの、飛び上がって隙を晒したホシヒメを叩き潰すように両翼端を叩きつける。ホシヒメには逃げられたが、狭間で弾けた真雷が彼女を吹き飛ばし、シュンゲキは錐揉み回転で地面を抉りながら高速で突進し、着地したホシヒメが咄嗟に応戦で繰り出した螺旋状の闘気と擦れ違い、急ブレーキをかけて反転し、もう一度突進する。そして激突する瞬間に速度を回転に変えて独楽のようにホシヒメへ衝突し、正面に向き直って全身から放電する。腕を交差させるだけで防ぎ、後退するにとどめた彼女へ、右翼を掲げ、莫大な量の真雷を放出しながら叩きつける。更に左翼を叩きつけ、交互に繰り出し徐々に速度を上げて連打する。
「へへ……!そう来るなら……ッ!」
ホシヒメは防御を解き、圧倒的な速さの突きの連打を繰り出す。そして一際速く強烈な刺突が激突し合った瞬間にシュンゲキは上空へ半ば暴発のような形で急上昇し、全身の装甲を開いて真雷を解放し、急降下と共に大放電する。避けられることを想定した二の矢として、その電磁エネルギーを凝縮した大雷球を生み出し、文字通りの(おそらく)電磁砲として射出する。超光速で飛翔したそれはホシヒメに直撃し、巨大なEMPフィールドを形成する。
「そぉいッ!」
ホシヒメは空中で蹴り払い、ピンポイントに光の刃で攻撃する。距離感から多少油断していたシュンゲキは直撃を受けて気勢を削がれ、その瞬間に肉薄されてダブルスレッジハンマーを鶏冠のごとき角に叩きつけ、纏った閃光が解けて爆発し、更に怯む。急降下と共に地面を殴りつけ、迸った閃光でもう一度怯ませ、その一瞬に掲げた右腕に全ての力を結集する。
「〈スーパーウルトラ……ええっとパンチ!〉」
なんとも締まらない技名の叫びと共に右拳が地面に再度叩きつけられ、視界を壊滅させるほどの閃光に包まれていく。閃光が収まるとその直撃を受けて全身から白煙を上げるシュンゲキがいた。
「いいじゃねえか……まどろっこしいこと無しで対等以上に殴り合える……こんな嬉しいことが他にあるかよ!」
「いよぉし、ガッツガッツ!」
両者は傷を癒すと、戦いを再開したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます