第24話 大好きな人と一緒に国を支えていきます

バージレーション王国から帰国した翌日、早速国の名前を決める会議が開かれた。見覚えのある元々いた貴族の他に、オーフェン様の家臣で新たに貴族になった方々も半分くらいいる。


そう言えば、リースお義姉様が言っていたわね。バージレーション王国の民は皆髪が黒いって。こうやって見ると、確かにオーフェン様の家臣たちは皆髪が黒いわ。


この会議で、初めて王妃として私も挨拶をした。私の顔を見た元々この国にいた貴族たちが、目を丸くして固まっている。それもそうだろう、元王太子の元婚約者で、散々冷遇されていた私が王妃になったのだから。


でも、元々いた貴族たちもバカではない。素直に私を受け入れてくれた。もちろん、お腹の中では何を考えているか分からないが、この国の人は長い物には巻かれろ体質だ。きっと何かして来る事はないだろう。


そしていくつもの名前が紹介され、多数決の結果、新しい王族の名前は“フトゥーロ王国”に決まった。国の名前は決まったが、とにかく国民への挨拶まで1週間を切っている。まだやらなければいけない事が沢山あるのだ。


とにかく国王でもあるオーフェン様は、寝る間も惜しんで家臣たちに指示を出している。私も王妃として、王宮で新たに働いてもらう為のメイドたちの面接に立ち会ったりしている。もちろんこの王宮のメイド長は、マドレアおば様だ。


私の専属メイドをしながらメイド長も任されるなんて、さすがに負担が大きいのでは?そう思ったが、本人が問題ないと言っていたので任せる事にした。


ちなみに元々王宮で働いていた人たちで、希望する人は残ってもらっているが、それでも人数が足りないのだ。そして、バージレーション王国に向かう前日、急いでデザインしたドレスも出来上がって来た。


オレンジ色のとても美しいドレスだ。オーフェン様の瞳の色。そう思っただけで、嬉しくてたまらない。早速試着てみる。


「まあ、物凄く似合っていますわよ!やはり王妃様には明るい色がよく似合いますわね」


そう言ってくれたマドレアおば様。ずっと紫色のドレスばかり着ていたせいか、物凄く新鮮だ。これからは極力オーフェン様の色でもある、オレンジのドレスを着よう。そう心に決めた。


そしてついに迎えた、国民に挨拶をする日

朝から体中を磨かれ、オレンジ色のドレスに身を包む。さらに、私の瞳に合わせた真っ赤なルビーのアクセサリーを付けてくれた。


そんな私の姿を見たオーフェン様が

「今日のサーラはいつも以上に美しい。まるで、皆を明るく照らしてくれる太陽の様だ!」


そう言って抱きしめてくれた。そんなオーフェン様は、白色を基調とした騎士様の様な格好だ。どうやらバージレーション王国に伝わる、国王のみが着られる民族衣装との事。


「オーフェン様のその衣装も、とても素敵ですわ。まるでおとぎ話に出て来る王子様みたい。あっ、元々王子様でしたね」


そう、オーフェン様は元々バージレーション王国の第三王子だ。そんな人に、王子様みたいだなんて、ちょっと失礼だったかしら?


「サーラに褒められると嬉しいよ!さあ、そろそろ行こうか、民たちが待っている」


「はい!」


オーフェン様が差し出してくれた腕に、自分の腕を絡ませる。ちなみに今日の会場は、王宮内にあるエントランスだ。今王宮はリフォーム中だが、この日の為に、まずエントランスがある大広間だけは先に工事を終えたらしい。


エントランスに出ると、沢山の民たちが大歓声を上げてこちらに向かって手を振ってくれていた。民たちの中には、マドレアおば様のお店で働いていた時に来てくれていた常連客の姿もあった。


「サーラちゃん!おめでとう!幸せになれよ!」


大歓声の中、確かに常連たちの声が聞こえた。彼らも私の事を受け入れてくれたのね。きっとかなり驚いたでしょうけれど。


ずっと孤独だった私、1人ぼっちで味方なんて誰1人としていなかった。そんな私に最初に手を差し伸べてくれたのは、オーフェン様だった。その後、沢山の人が私に手を差し伸べてくれた。


そして気が付くと、こんなにも大切な人たちが出来た。オーフェン様、あなた様のおかげで私はこんなにも大切な人たちと出会う事が出来ました。これからは、2人で皆が幸せに暮らせる国を作っていきましょうね。


ふと空を見上げると、雲一つない青空が広がっていた。私たちの門出を、祝福してくれているかのように…



おしまい




~あとがき~

これにて完結です。

多分いつもの様に、少し番外編を書いて行くかと思います。

その時は、どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m


最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m

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