第4話 ギルドマスター、ポンコ焦る
「ノインのヤツがグレイトドラゴンを倒したという噂、どうやら本当だったらしい」
「王国の調査団が調べたところによると、フレアバースト級の魔法を使った跡があったとか……」
「それな! オレも王国の通達を見て驚いたわ……」
「あと聞いた話けど、ノインのユニークスキル……魔法のレベルを”進化”させるらしいぜ」
「ウソだろ!? そんなの反則じゃねーか!」
*** ***
「ぐぬぬ……」
ギルドに併設された食堂では、何人もの冒険者たちがテーブルに着いている。
彼らが話している話題は、そろいもそろってノインに関することで……。
(ぬわぁんという事だぁぁ……ありえないだろぉ?)
(ヤツのユニークスキルは”球投げ”だったはずだあああぁぁぁ)
(Sランクのグゥレイトドラゴンを倒せるわけがぁ……魔法を進化させるスキルだとぉ? そんなバカなあぁぁああ!)
心の声までねっとりしているギルドマスターのポンコは、ギルドのカウンターに座り頭を抱えていた。
常識ではありえないことが起きている……これも”女神付き”の力か?
いやいや、そんな事例など、一度も聞いたことがない。
なまじギルドマスターの地位にあるからか、現在ノインに起きていることがどれだけ常識はずれな事か、ポンコには分かってしまうのだ。
「ぬぅあにより、一つ確かな事わだぁ」
俺様のギルドは、とてつもなく大きな魚を逃してしまったという事だ。
「そんなもの、金でノインを連れ戻せばいいじゃないっすか!」
ポンコの取り巻きでギルド幹部のエーイがお気楽な調子でのたまう。
「いやむしろ、拉致するっす! 簡単っすよ!」
それに同調し、さらに過激な意見を述べる幹部ビー。
「お前らは、ヴァアアアカかぁ!?」
ドガッ!
ドガッ!
「「あいてっ!?」」
「”試用期間内”でクビにした場合ぃぃぃ、
「”フリー”のユニークスキル持ちを、ライバル連中が放っておくわけないだろうがぁぁ!
無理やり拉致なんかしてみろぉ、俺たちはあっさりと除名だ! 頭を使えぇぇえ!」
頭の悪い部下に嫌気がさしてくる……ギルドをクビになった冒険者は”フリーエージェント”枠として登録され、オファーが来れば所属先を自分で選べる。
それがたとえ外国のギルドでもだ。
現に各国の冒険者ギルド、軍などが一斉に調査に動いているらしい。
ノインを合法的に取り戻せるとしたら、いったんほかの組織に所属させ、既定の移籍金を払うしか道はないが……。
間違いなく今後、ノインの価値は高騰していくだろう……今のうちにリスクを冒してでも買い戻さねば。
ギルドマスターのポンコは薄くなった頭に脂汗をにじませながら、危急の金策に頭を悩ませる。
(ひとまず、ヤツが遠い外国に逃げてしまう事だけは避けねばなぁ……!)
金策も必要だが、まずはノインを
ポンコはいくつかの取引先に連絡し、陰謀を巡らせるのだった。
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