第9話踊り娘隊現る6

「はあ…可及的速やかに死んでください〜!」

言葉に似合わないのんびりした口調で少女は言う。

 少女はその鮮やかな青い髪を靡かせながら、ゾンビを倒していく。だが、その手には、剣も銃もハンマーも、およそ攻撃をするためのものは握られていなかった。

 驚くことに、少女は踊っていたのだ。彼女が踊る姿は見た者は、彼女に崇敬の念を抱いてしまう。現に、ゾンビも襲うことなど忘れたように彼女を拝んでいる。少女がステップを踏むと同時に彼女の踏んだ場所から氷が生まれ、その氷に刺されたゾンビ達は、涙を流しながら、消滅する。だが、この涙は、苦しみや生への執着からではない。彼女に手をくだされたことへの感動からである。


「あーあ…。」

少女は退屈そうに金髪を弄っていた。

視界に入るゾンビは全て屠ってしまったため、する事が無くなってしまったのである。

「暇ー。」

「パテール…。」

「ああ!カレンじゃん!どーしたの?」

「迎えに来たのよ。」

「えっ?って、きゃあ!」

カレンは、パテールを横抱きにした。

「ああ、お姫様だっこかー!惚れる!」

カレンはパテールを無視し、ビルへ戻る。

「え?無視?普通そーなのとか何とか言うでしょ!?」

「…………。」

「ねぇねぇねぇねぇ!」

「そうなの。」

「えー!?さっきのは、おかしい!?絶対おかしい!」

「そうなの。」

「ちょっとー!カレンったら酷いんだから!」

「そうなの。」

「ちゃんと言葉のキャッチボールしよ?パテールちゃん悲しいよ。泣いちゃうぞ!」

「そうなの。」

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