第8話踊り娘隊現る5
「えへへ〜。」
少女の目の前には、ゾンビとゾンビとゾンビが居る。つまり、ゾンビだらけだ。
何も知らない人が見たならば、危機的な状況だと思うだろう。そして、ゾンビに囲まれた憐れな少女に憐憫の情をおぼえるだろう。
「ど・れ・に・し・よ・う・か・な~?」
ゾンビ達は、四方八方からじわりじわりと近づく。
一体のゾンビが少女に腕を振り下ろす。が、その腕は、次の瞬間、止まっていた。
少女はその美しい金髪を靡かせながら、ゾンビを倒していく。だが、その手には、剣も銃もハンマーも、およそ攻撃をするためのものは握られていなかった。
驚くことに、少女は踊っていたのだ。彼女が踊る姿は見た者には、奇妙な陶酔感が押し寄せる。現に、ゾンビも襲うことなど忘れたように心酔している。少女がステップを踏むと同時に彼女の踏んだ場所から炎が生まれ、その炎は、ゾンビ達を焼き尽くす。
「あっはははははは…!」
ゾンビを次々に倒しながら無邪気に笑う、その姿は、鬼のように美しかった。
「ううう〜!」
少女は頭を抱えていた。だが、それは、悩んでいるからではない。頭に衝撃が走ったためである。あろうことか、彼女は、何もない所で躓き、頭から派手に転んだのである。
ふと、少女が立ちあがった。
彼女の頭には、
彼女の脳裏に、ゾンビの街への地図がチラついた。彼女は走る。
彼女のサファイアの瞳に映ったのは、今まで探していたゾンビの街。
「ここ、ですか〜。」
冷たい瞳で見る。ゾンビ達を。
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