第4話踊り娘隊現る
「イド…!どうか、貴方だけは…!」
エイミーは涙を堪らえながら、表口へ向かう。涙など見せようものなら、あのイドの事、裏口になど行かないだろう。
べチャリ、べチャリ。
あのゾンビはドアへと向かっている。
恐怖で足が小刻みに震える。
意を決してエイミーは表口から出た。目の前には、ゾンビの大群。小柄で華奢な体躯を今日ほど恨んだ事は無い。イドが逃げるための時間稼ぎの時間が短くなるではないか。
「さよなら、イド…。」
そう呟き、ゾンビの大群に向かって行った。
そして、ゾンビに見つかると、できるだけ遠くに逃げる。
グオオオオオ!!
グオオオオオ!!
グオオオオオ!!
イドは三体のゾンビの咆哮を聞いた。エイミーが見つかったのだろう。エイミーの努力を無駄にしないように、精一杯走った。
「エイミー…!」
エイミーは、ついに囲まれてしまった。目算で少なくとも百体は居る。そして、聞き慣れたあの音が四方から聞こえる。
べチャリ、べチャリ、べチャリ、べチャリ。
エイミーがもう終わりだと思い、目を閉じた。瞬間。
「させませんわよ!」
声が、聞こえた。目を、開く。
そこには、女性のエイミーも息を呑んでしまうほど綺麗な少女が居た。
「怪我はありませんこと?」
「は、はい…!」
少女はその艷やかな黒髪を靡かせながら、ゾンビを倒していく。だが、その手には、剣も銃もハンマーも、およそ攻撃をするためのものは握られていなかった。
驚くことに、少女は踊っていたのだ。彼女が踊る姿は見る者の心を惹きつけて止まなかった。現に、ゾンビも襲うことなど忘れたように魅入っている。少女がステップを踏むと同時に彼女の踏んだ場所から光が生まれ、その光を浴びたゾンビは浄化されていった。
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