踊り娘隊出動中!

るり

第1話プロローグ

王も貴族も民も皆、頭を抱えていた。

前代未聞の出来事に、誰も対処できなかった。

当事者で無ければ誰もが「そんな馬鹿な。悪い冗談だぜ!」と笑い飛ばせるだろう。

それを聞いた当事者は皆、「これが悪い冗談であったなら、どんなに良いか…。」と思うだろう。

何故なら、有り得ないこと。否、有ってはならない事が本当に起きているのだから。

誰もが皆、頬をつねった。誰もが皆、悪い夢だと信じたかった。

だが、現実は残酷だった。痛かった。夢では無かった。


事の発端は、とある子供が両親に絵本を読み聞かせてもらったことだった。

ありふれた光景。幸せな生活の1ページ。誰もがそう思うだろう。それはそうである。それは、とてもとても些末な事だ。その子供が普通の人間だったのなら。


絵本の中のお話だと思っていたものが、現実に起きるだなんて、誰が考えただろう?

きっと、その母親も父親も、考えなしなかっただろう。

可愛い可愛い我が子が、だなんて。

自分達が授かった子供が、だなんて。

一生懸命育てている我が子が、になるだなんて。


「〜めでたしめでたし。はい。お終い!」

話を読み終わった後も、目を輝かせ、絵本を見ていた。そして、口を開く。

「ママ、パパ!もーいっかい!!」

「はいはい。むかしむかしあるところに〜。」

「ぼく、まもるからね!」


誰が予想できるだろう?

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