君は天使14
天使が咆哮をあげて全身に力を溜める
光が天使を包み、電気を纏(まと)ったように
発光し爆発しそうな勢いで光が広がっていく
しかし天使のその目からは涙が流れている
ごめんね
これで終わるから
こんな事してもあなたは喜ばないのは
わかっているの
でも
でも
私にはもうこの道以外他に何も残っていないの
天使は敵(かたき)討ちをしても彼女の親友アウリが
帰ってくる訳でもなく
喜ぶ訳でもない事がわかっているのだ
どこかに怒りをぶつける以外に
親友を亡くした悲しい気持ちを
まぎらわせる事が出来なくなっていた
アウリとは家が隣で同じ歳で
小さい頃から仲がよくって
幼なじみの親友だった
彼女は好奇心旺盛で
とてもかわいくて、性格もよく
人気者で優秀だった
そんな彼女が自分の親友で
私も鼻が高くなるくらいだった
大きくなるにつれて彼女の才能は開花していき
とても高い神力を持ち
様々な魔法を使いこなし
そしてついに女神候補生として
選ばれるようになった
そんな彼女が研修と称して
この人間界に来たときだった
しばらくして行方がわからなくなってしまった
学園の先生達による捜索隊がくまれた
私は無理を言ってその捜索隊に入れてもらった
長い間彼女は見つからなかった
地球全体規模での捜索となれば
あまりにも範囲が広すぎたのだった
天使は同族の気配が察知できたのだが
誰にも彼女の気を探る事はできなかった
捜索隊の規模も縮小された頃だった
彼女が見つかったという報告が入った
どうやら魔族に捕まっていたという話だった
私達はその魔族を敵とみなし
討伐対象とする事にした
ようやく彼女の所在が判明し
魔族討伐作戦を開始した時だった
彼女、アウリが魔族を守り
私達と敵対する事になった
最終的には彼女は自身の身を呈し
魔族と彼女の子を思われる子供を守り
消滅した
事故だったとも言われたが
優秀な彼女が敵対した事で
彼女の力を抑える為に
数名が犠牲になるなどの
被害が出た為
手を抜く事が出来なくなってしまっていた
アウリの死が混乱と困惑を招き
討伐も捜索もそのまま打ち切られた
彼女が死ぬ間際に魔族を別の場所に転送した
しかし私達はその後を追う事はなかった
ただ悲しみだけが残る結果となって
彼女の捜索は終わり
そしてこの件については
今後誰も関わる事を禁じられた
その後様々な噂話が囁かれた
アウリは魔族に子供をたてに
脅されていたんじゃないかという
子供の父親は誰なのか?
殺されてしまったのか?
天使長に事の詳細を尋ねたのだが
わからないという返事だったのと
もう忘れなさいという話だった
アウリは禁忌をおかしてしまった為に
重罪人の烙印をおされてしまった
アウリのような優秀で賢い子が
同族の手にかかってしまったのも
裏切り者だと言われたのも
魔族のせいだと私は思った
あの時の魔族を顔を一生忘れる事は
しないと誓った
そしてやっと見つけた
あの子の仇(かたき)がうてる
続く
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