君は天使12
転がった体勢から起き上がって服の汚れを
手で払う魔王様
天使の痛い視線が突き刺さる
初撃でダメージを与えられなかったのが
大きな誤算だった
その後の展開が魔王様の思う展望から
大きくずれてしまったので内心
どうしようかな…
そんな事を思いながら天使の視線に気がつかない
フリをしつつ服の汚れをパンパンと払っていた
『おい!お前何者だって聞いているだろう』
と無視し続けた天使からお声がかかった
『通りすがりの魔王だって言ったじゃん』
強がりながらそう答えた
だって天使から一撃もらったら絶対アウトだから
『魔王?大丈夫か?アニメの見過ぎか?』
本気で呆れた顔をした天使が
馬鹿にした顔で魔王様を見てる
痛いやつだと思われてるようだ
『お前の方こそ何してんだよ?
天使が人を傷つけたらダメだろう?
後で偉い人からお呼びがかかるぞ』
馬鹿にしてる相手から天使という
単語出た瞬間天使の目つきが変わった
『お前ほんとに何者だ?
なぜ私が天使だとわかる?』
ちょっと動揺する天使
『だから魔王だって
勇者と対なす相手だよ
お前ら天使や女神にとって
倒すべき相手であるけど
実際には無くてはならない
設定の存在の魔王様だよ』
そう言いながら落とした鉄パイプを
片手で拾い肩に乗せる魔王様
『魔王かどうかは別にして
こちら側の事情に詳しいな』
天使の動揺が大きくなる
本物の魔王がこの世界にいる筈もないのだが
異世界側の事情を理解してる事から
本物なのかまたは別の何かなのか
たまたま詳しい人間が存在するのか
天使側の者なのか、と思考が交錯する
しばらく沈黙だった天使が口を開く
『本物?だと仮定して何故こちら側にいる?
それが答えられたら認めよう』
天使からの問いに
『別に認めてくれなくてもいいんだけどな
本物って認めたら
この場所から立ち去ってくれるん?』
と魔王様が天使に聞き返す
『残念ながらノーだ
お前も一緒に消えてもらってなかった事にする』
とても天使とは思えない答えが帰ってきた
『デショウネー』
やっぱりねって感じでため息ついて
答える魔王様
『お、おぃ、あ、朝陽???
本物なのか?これは夢なのか…』
とただでさえ状況が飲み込めてない大地が
独り言のように呟く
魔王様、もとい朝陽の登場で
しかも天使と呼ばれているが
大地の思い描く天使とは程遠い人物に
対して臆せず立ち向かい会話までしている
この状況が現実離れしすぎていて
夢なのでは?とさえ思える状況になっていた
『よ!大地くん
残念ながら現実だよ
騎士みたいでかっこよかったよ〜
好きな人を命をかけて守る姿
きゅんとしちゃったね〜』
ニヤニヤしながら魔王様が大地に話かける
『おまっ、これは一体どういう事なんだ?
どっきりかなんかなのか???』
大地が朝陽に現実の出来事ではないと否定して
欲しいかのように尋ねる
『さっきも言ったろ
残念ながら現実だ
目の前にいるのは天使で
今、お前らを標的にしているみたいだね
なんでか知らないけど殺されそう?
ここまで恨みを買うなんて
よほどの事があったんだろうけど
とりあえず、おしゃべりは後だ
なんとか隙を作るから
その娘を連れて走って逃げろ』
魔王様が鉄パイプの先を天使に向けて
警戒しつつ、横目で大地に指示を出す
さて、隙を作れるか
私の今の状態だと
まず勝てない
というか一瞬でやられる可能性もある
動揺を誘うか…
人を守る為の天使が
傷つけるような事をする筈はないのだが
何か事情がありそうだし
そこらへんの話を切り出して
説得は無理でも
とまどいを誘う事はできるかもしれない
そもそも天使長がこんな事を許している訳がない
となるとこいつの個人的な何かだろうなんだが
そうなるとこの後自身が処罰されるか消される事に
なっても受け入れる覚悟ができている
って事は下手に刺激すると
即全力でやられちゃうだろうしな〜
どうすっかな〜
とりあえず
私も気になるから話をさせてみるか!
魔王様がなんとか大地達を逃す戦略を
考えた結果、戦闘においては相手が
数枚も上
となると会話、対話でなんとか隙を見出す
という結論に至った
『おぃそこの天使!!
一体何故こんな事をする?
お前がそこまで恨む理由はなんだ!!!』
よし、これで天使が事の経緯を聞いてないとこまで
話始める筈だ
その間になんとか隙を見て………
と魔王様が考えていると
『うるさい!お前には関係のない事だ!!!』
え?あれ?話す気ない?
アニメならここで話好きかよ?
ってくらい丸々1話分は話始めるだろ?
と魔王様が心の中で嘆く
一蹴され万策つきる
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます