第1話

ドサッ____


「うぅ…痛い…」

尻もちを付き痛むお尻とズキズキと響くような頭痛で目を覚まし自身の頭を撫でながら起き上がる 。


「あれ?私死んだんじゃないの…?」


普段より少し高い声と少し高い目線、肩にかかるセミロングくらいの髪 。


______おかしい 。


彼女の名前は平谷ひらやいつき(14) 。

ベリーショートヘアで見た目は男子と間違われても仕方ない程だが平均より少し低めの身長 、超絶可愛い訳ではないが、持ち前のコミュ力で男女共に人気である 。


そんなベリーショート彼女が急に肩にかかるほど髪が伸びる訳ないのだ 。

服装だってさっきとは違う 。 制服のように見えるその服は青いネクタイにクリーム色のニットベスト、プリーツが多めの紺色のスカート 。樹の通っている中学校のものではない 。


急いで普段とは変わらないように見える世界でそこらに連なる店のガラスに自身を写してみる 。


「ガチか…」


スラリとしたスタイルに、シュッとした輪郭、少しツリ気味の茶色い目、元は色白であろう少し焼けた肌 。それらを隠すかのように少し長い前髪 。艶のある黒髪 。 通学用であろうリュックについている謎のキャラクター 。


少女漫画あるあるの" 前髪メガネをなくしたら超絶美人!" みたいな女の子になっていた 。


しかし、樹はこの子自分を知っていた 。


そう 。この子こそ樹の娘である 。


名前は 河祈かわき来夢らむ

樹と同じく中学3年生だ 。


同い年の娘?と思った人も居るだろう 。

まぁ、今は「平谷樹が河祈来夢になった」とだけ思っといてほしい 。


____


??「来夢…?」



その言葉に来夢は後ろに振り向いた 。

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