社長息子の俺が、元アイドル美少女と許嫁になった素敵な話。
星海ほたる
第一章
FIRST Love
第1話 プロローグ ――物語の始まり
これは陰キャ社長息子の俺と元国民的アイドルが本当の夫婦になるまでの物語――
「はっ……。結婚? 意味分かんないんだけど」
『すまないな。明日からそこに幸太の婚約者が行くからよろしく』
最初は冗談だと思った。なのでもう一度聞き返してみる。
「父さん……誰が結婚するって言った? 親戚のおばさん?」
『違うな。お前はまだ会ったこともない女の子だ。見たことはあるかもな』
「ごめん無理。俺、高校生だし親に婚約者見つけてもらうほど落ちぶれてないから」
『すまない。この結婚で父さんの会社の今後の運命が変わるんだ。頼まれてくれ』
俺こと
親は会社を経営していて父は仕事の都合で、今はロサンゼルスにいる。妹は祖母の家で生活をしている。
俺はというと高校入学と同時に一人暮らしを始め父に買ってもらった小さな一軒家で一人快適で不便のない生活をしている。
「で、明日って何時くらいなの。追い払うけど……」
『そう言わないで欲しいんだが……。確か五時くらいだと思う』
もちろん今の快適な生活に俺の苦手な三次元女子が絡んでくると色々と面倒くさそうなので、明日は速攻追い払うつもりだ。
それに相手の女の子も俺みたいなヒョロヒョロでソシャゲ大好きアニメオタクな男子を見たら引いて逃げていくだろう。
クラスの一軍男子なんかだったら茶髪にしたりとか、ピアス開けたりだとかしてるけど俺にはそんな華々しい高校生デビューみたいなことは一つもない。
硬めの黒髪で太ってもやせてもいない肉付き。運動だめ勉強はまあまあできるくらいな感じ。
そんな冴えない男子高校生が明日から結婚だと?
見ず知らずの女の子と?
無理無理……。
「なんでもっと早く言ってくれなかったんだよ。誰かもわからない。それに結婚できるような年齢でもない。そんなんで結婚なんて無理だから」
『父さんは今、本当に大事な時期なんだ。このプロジェクトが上手くいかなかったら父さんの会社は倒産するかもしれないんだ。ブフっ……フフフっ』
しょうもないオヤジギャグで笑う父。
この人は本当に社長という仕事が出来ているのだろうか……。
「それで? 倒産くらい大丈夫でしょ」
『はぁ……、そう言わないでくれ我が息子よっ……』
「それでなんで俺が結婚するって話になるんだよ」
『お前が婚約する女の子の父親は有名企業の社長さんでな、うちの得意先の方でもあるんだ。その社長さんの娘さんがお前と同い年なんだが日本で一人暮らしをさせるらしい。でもやっぱり防犯や事故なんかと色々心配らしいんだ』
「そういうことか……。なら家政婦とかSP付ければ良くない?」
『そう簡単な話じゃないんだよ。まぁ、お前の結婚に我社の命運がかかってるってことだ。沢山の社員や従業員の命や生活を背負ってる。だから……』
「重たく言うのやめろよ……」
ほんと勝手すぎる……。
俺は少し考えた後、小さくため息を吐いて言う。
「じゃあ、五時にその子が来るんだよな?」
『あぁ、それじゃあ後はよろしくな』
「は? ちょっとまっ……」
ブチッ……ピーピーピー
切られてしまった……。
ていうか、さっきの話本気で言ってるの? 婚約?
本当に勘弁してほしい……女子と話すの得意じゃないのに。
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