第11話

~現実世界、星の病室、訪問者~


 

「「ログを解析します。

 下記、失敗を確認。以後無視します。


 1スキル、設定の失敗。

 2スキル、プレイヤー演算の失敗。



 理解認識の設定を行います。


 A

 B

 C

 D


 完了しました。


 死亡を確認しました。

 死亡を確認しました。

 以下略。



 スキル「罌粟」の削除を要請。

 拒否されました。


 スキル「閼伽」の削除を要請。

 拒否されました。


 スキル「死海」の削除を要請。

 削除されました。


 スキル「概念」の削除を要請。

 拒否されました。


 確認しました」」


 私は、笑う。

 しかし、そこに笑みは無い。

 ただ、薄暮た悲しい顔がそこにあるばかり。


 そう、私は、笑ったのである。

 そう思ったから、笑っているのである。


 そうなのだ。


 そうしなければ、世界など無いに等しい。


 宇宙とは何?

 世界って何?

 人間って?

 生きるって?


 わからない。

 だから、私は、。


 それって本当に有るの?


 私は問う。



 ただ、貴方がそう有るって思っているだけじゃないの? そう問う。


 貴方が触れたもの。貴方が読んでいる情報。


 貴方が中心で、貴方から見えない、干渉できない場所。それは本当に有るの?


 ただひたすらに、笑って有るって言ってそれで終わり?


 いいよそれで。

 遠く離れた場所。今、人が死んだ。

 証明してください。


 貴方の言葉、貴方の情報で証明してください。


 ふふ。


 出来ないって決まっています。


 貴方が見せた、インターネット等の情報。

 それの真偽を説明してください。


 貴方以外の人間に意思が有るって事も証明出来ない。


 全ては、複雑な条件反射かもしれない。

 これは貴方は否定出来ない。


 そうだ。



 この世界は本物?


 いいえ。


 貴方が、世界です。

 貴方が世界が有ると認識したら世界があるのです。


 面白いですね。だけど。


 貴方は死んだ。

 今、死んだと思えば死ぬのです。


 脳死。これは、生きているのですか? 死んでいるのですか?


 そうですね。世間的には死んでいるのですよね。

 しかしそうでしょうか?


 自我がなければ、死んだのでしょうか?


 赤ちゃんに人間らしい自我、意思など存在しません。ましてや働く事すらも出来ません。


 しかし、生きています。


 脳死との違いは、動けるか動けないだけです。

 人間の手を借りて生きているのは何も変わらない。


 脳死の人も放置すれば死ぬ。赤ちゃんもそうです。


 何が違うか。そうです。

 割の認識の違いだけ、です。


 私は貴方を知らない。

 貴方は死んだ。



 ふふふ。


 そんなことはないですよ。

 だって、存在した事すら分からない存在です。生きている事も証明出来ません。


 ふふふ。生きると死ぬ。表裏一体な存在です。


 あはは。

 そのようなことは良いのですか?


 ははは。良いんですよ。


 テイム生物は昇天後、その姿を消します。

 そこは遠い遠い場所。

 

 でも、そこまで遠くはないかも。

 だって、場所すら空間すら定義されていないのだから。


 へへへ。貴方の後ろ。ずっと付いているかも。

 死ぬ訳ではない。だって誰も、死んだと認識しないから。

 死んだと、証明が出来ないから。


 生きているかも、そんな希望を持つ。


 頑張ってください。


 向井 星さん。


 プレイヤー名「垂れ星」さん。





 病棟番号96939。

 生命維持装置「LAAMK3」

 GMS「医療用」

 生命部位、首以下欠損。

 生命状態、意識障害。

 心理的状態、悪。

 現実世界への接続、不可。

 VR接続状態、良好。

 

 脳の機能、正常。

 消化器官の機能、該当するハード無し。

 以下、該当するハードは有りません。


 VR世界での、意識障害は確認されていません。

 なお、該当者はVR世界を現実世界と認識しています。


 

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