第9話
しばらく時間が経ち。
~洞穴~
「「獲得機会を確認しました。獲得機会”一日を超える間、自身の体が無意識である事かつ、テイム生物により保護を受けている時、保護を行っているテイム生物が瀕死になった時”より、取得の手続きを開始。
スキル「憑依」を獲得しました。このスキルにより、速力を除く全てのステータスが150に固定、またレベルも1として固定。ただレベルによりロックされる機能は全てアンロックします。以後、スキルは獲得出来ません」」
「空お姉ちゃん、助けて」
〜
「「「
碧眼?
「ちょっと待つのです。碧眼が発動したのです」
「「「碧眼」が自動発動します。残りの人魂の数は49です」」
「何かありましたか? 狐さん。手が止まっていますよ?」
「「「碧眼」が自動発動します。残り人魂は48です」」
「まっ待ってください。碧眼ですか?」
「そう、碧眼なのです」
「空殿、ダメージ食らってないですよね?」
「はい、ノーダメですよ」
主には、事前に下限解放を付与しておいたから、よっぽどの事が無い限り大丈夫なはず、だとすれば残りは?
「?!?!?!!!!???」
「!???!?!?!!!!!!!!??」
「青殿?」
「青?!」
「まって、石掘ってる場合じゃないです!」
「そ、そ、そうですね!!」
「碧眼任意発動、対象は青」
「「発動しました。残りの人魂の数は44です」」
待って、待って人魂をそろそろ補充しないとやばいのです。
44とか、スキルを得ようとすると、もう溶ける溶ける。
「狐さん何ぼーっとしてるのですか?!!! 早く青を助けに行きましょ!!」
「なのです!」
4
〜
足音? また敵?!
助けなきゃ。お母さんを助けなきゃ。
「「クリーチャー「ゾンビ(T53〜100)」の群れ(50体)です」」
閼伽を使います。
「「肉体の形を維持しつつ、腕の一部を変形させました」」
「おりゃぁ!! え? あ、あぁぁぁ」
「「ゾンビナイトの剣により刺殺。HPが0になりました。ゲームルールにより状態異常が全回復。「昇天」を行います」」
「「狐火のスキル「碧眼」が自動発動しました。「昇天」を待機。HPが全回復しました」」
「「待機効果終了を確認、「昇天」をトリガーします。エラー。発動条件を満たしていません」」
HPは全回復した。でも剣は刺さったまま。
「「流血が確認されました。内蔵等へのダメージを含め、約1000ダメージ」」
~~~
痛い。痛い痛い。
ゾンビナイトはグリグリと剣で腹を掻き回して傷を広げる。
悪臭とともに、その顔が見えた。
腐りに腐ったその顔は骨が見えているが、笑っているようにも見える。
涙で視界が歪む。
力が欲しい。
「「流血が確認されました。内蔵等へのダメージを含め、約1000ダメージ」」
~~~
ゾンビナイトは何を考えたのか、剣を引き抜いた。
「「流血が確認されました。約400ダメージ」」
「「碧眼が任意的に使用されました。状態異常「下限開放(-1000)」が付与されました」」
「「流血により、HPを減算。HP値が-になりました」」
だから何? 痛いよ?
痛いよ?
咳をする。
口を押さえた青い手に、
傷口から、
「「流血により、HPを減算」」
痛い。
お母さん。
あの時みたいに助けてよ。
ねえ、お母さん。
「スキル「憑依」を二度使用。
「「7を実行しました」」
「「4を実行しました」」
「「5を実行しました」」
「「HPが0になりました。狐火のスキル「碧眼」が自動発動しました。「昇天」を待機。HPが全回復しました」」
「「9を実行しました」」
「服従より狐火所持の「碧眼」を使用。対象「青」」
「「青のHPが全快しました」」
「「浮遊改」より
「「完了しました。周辺の生物が居なくなりました。戦闘を終了します」」
「「状態異常「浮遊改」が「浮遊」に回復しました」」
お母さん?
あれ? 痛くない。赤くない。
「はぁ、はぁ、青大丈夫?!」
「大丈夫なのです?!」
「やっほーお二人さん」
お母さん、温かい、柔らかい。
優しい。
「お二人さん、どうしたの? 目を丸くして」
「え? いや、おはようございます」
「おはようなのです。主殿」
「ねえ、キツネさん? 突然だけど私、キツネさんとハグしたいー!」
「わ、わかったのです」
背中に温かい物が乗っかる。狐ーさんの尻尾かな?
「尻尾もふもふ、しばらく触れなくて寂しかったんだよー!」
「良かったのです」
「ほら、空もおいで。 温かいよ?」
「え、良いんですか?」
「うん。おいで!」
「では、失礼します」
「空の羽も暖かくて、なんかツルフワしてる」
「ありがとうございます」
「皆、ごめんね。今度は一緒に安全な所で寝ようね」
「はいなのです」
うん。
「そうですね」
「青ちゃんは?」
「うん!」
青は大きく頷いた。
「「第一回イベント!! 今回のイベントはーこれだ!!」」
突如として巨大なゲーム内アナウンス。
「この安心するようなムードをぶっ壊したな運営! 許さん。ごめんごめん。青ちゃん大丈夫大丈夫」
それにしても急な大きい声にビックリしてしまった。
「「”これで君も上位ランカーだ! 白熱! 掘って掘って掘りまくれ! 決めろスタートダッシュ!!” イベント開催日は本日、発売日の午前7時から現実時間七日間!!」」
このアナウンスをぽけーっと聞いてる青ちゃん。
正直、可愛い。
「このイベント気になるのです」
「そうですね。狐さん」
で今回のイベントは、ポイントを集めて景品と交換するタイプのイベント。
なになに? マイワールドの地下にある石を割ると「一定確率」でポイントになる宝石がドロップすると。でもって、この宝石は普通に防具制作素材としても優秀と。
うん? 一定確率? ブランチマイニング? いや、普通にくり抜き掘削の方が良いか。でも、なんか対象となるY軸は決まってるらしいし。うーん0〜20?
で、原点から右上でルビードロップされて、左下ではサファイヤがドロップすると?
同時に集めれれない上に移動が面倒なのか。
うーん? 作業?
良いとは思うよ? でも交換に必要な数が、、。あ、意外と少ない。
全部交換出来たとして、貰える物は、61kGとTier強化アイテムが
面倒そうだけど、やるしかないか。そうだね。やるしか無い。
「なるほどなのです。結局はたくさん石を叩き割ればいいのです」
「そうぽっいですね。なかかな面倒そうですね。お母さんはやっぱりイベントランキング上位を目指すのですか?」
状態を変えずに体温を共有しているが、青以外、それぞれイベントの通知を見ている。
「そうだな、このサーバーでの上位に食い込むのはかなり難しいよ? あまりイベントランキングの事は考えない方がいいよ。疲れない程度でゆっくりするのが一番いい」
「なんで上位に食い込むのは難しいんですか?」
「空、いい質問だ。このサーバーには私と同業者がたくさんいるんだ。というのも、作業量を自慢すると言った、しょうもないコミニュティがあってね。その集団がこのゲームにフル参戦してるってわけ。上には上が居てね。私なんて蟻だよ。蟻」
そう笑って見せる。
「お母さんでも、敵わない人がが居るの?」
「ううん、青ちゃんそう言う訳じゃないよ。と言うか、そこの狐の誰かさんのせいで、変な強化のされ方してるからね。ましてやそのせいでスキルが一切獲得できなくなったし」
「余は知らないのです」
「そうだねー。ちゃんとした説明も無しに種族変更の契約書にサインさせた馬鹿者が、私の近くになんて居ないよね」
「狐さん。そんな事してたんですか?」
「よ、余は知らないのです」
「明らかに動揺しているのが丸わかりですよ」
「まぁ、実際そんな事はどうでも良いんだけど、とにかくイベントだよ」
「イベントどうするのです?」
「今の所、手分けしようかなって、それこそ青空姉妹とその他でね」
「それなら、閼伽が使える私達がツルハシになって、掘ればいいじゃないですか?」
「それも考えたけど、そうすると私が割った事にならないんだよね」
「あー、そういう事ですか。なるほど、閼伽の場合はあくまで割ったのは個体として認識されている青か私のツルハシですからね」
「ん? じゃぁ私が、その防具? を着れば良いって事?」
「おっ! 青ちゃん、それ良いね。それも考えられる」
「そう言えば、私達が掘ってる仮拠点って原点から右上でしたっけ?」
「確かそうなのです」
「お二人さん、何? 拠点掘ってくれてたの? ありがとう、助かる」
「恐れ入ります」
「でも、うん」
「キツネさん何か言いたそうだけど何かあったの?」
「お母さん、なにもないですよ。ね? 狐さん」
「は、い」
狐火さんが空に制圧されてる。
ごめん狐火さん。ちょっと笑っちゃった。
まぁ、うまくいってそうだから、干渉するのも厄介なだけか。
「じゃぁ、早速それぞれ移動しようか。狐火さんと空ちゃんのペアと、青ちゃんと私のペアで。狐火さん達は引き続き、拠点拡張を兼ねて右上をお願いするね。で、空ちゃんこれ、使って」
「幸運のコート? 良いんですか?」
「うん。第一優先はルビーで取れるスキル「ルビー」だからね。お願い。それ装備すると絶対ルビーが落ちるようになるから。頑張って119100個頑張ってね」
「桁がおかしいのです」
「そうですね」
「そう? そんな事ないと思うけど」
「狐さん。この人ダメです。我々の価値観が通用しません!!」
「お、おう。確かにそうなのです」
「何か言いましたか? そこのお二人さん?」
「え、いえ! 何も言っておりません!!」
「お母さん。狐さんの言う通り何も言っていません!!」
「じゃぁ、サファイヤでも良いよ? ルビーが嫌なら?」
「いや、サファイヤの採掘なんてまっぴらごめんなのです!」
「そうですよ。マジ勘弁です!」
脂汗のような冷や汗のような汗を垂らしながら、必死に首を振る二人。
「じゃぁ、11万個の石を叩きまくって割るお仕事だからよろしくね! たかが11万だから。空間で言うと、どのぐらいだろうね100×10×100にプラスαって感じ? よろしくね!」
「はい、、、、」
「なのです、、、、」
さて、二人は作業に戻ったし、私は掘ろうかね。10290個のサファイヤを。
えっと、確率が10%だから、10乗算?
でも10万か。簡単だね。
「青ちゃん。掘りに行こうか!」
「はい! お母さん!」
〜地下〜
石を無限と隠喩が出来る程に、割り続けている。まぁ有限なんですが。
「ねぇ、青ちゃん。あ、喋れなかったね。ごめん」
その声に反応したのか。青いツルハシから触手が伸びてきて、私の耳の裏に触れてきた。
「何ですか?」
「うわぁっ! 冷た! あ、でもなるほど理解」
「何がです?」
「ううん。なんでも。所で、このワールドで何やってたの?」
どうやら、青ちゃんは骨伝導イヤホンと同じ原理で、音を伝えているようだ。
「えっと、管理です! お姉ちゃんと楽しいですよ! 恥ずかしがり屋の人魚、
「へぇ、ワイバーンも勉強するんだ。勉強ってことは図書館とかあるの?」
「あります。確か、この近くに、」
手に鈍い痛み。
反発するようなそんな反動。
「え? 何か硬い物があるんだけど?」
「そう、ここです! ここが図書館です!」
「ここが?」
「そう。 入り口は確か、右にもうちょっと掘った所!」
「右?」
「うん」
「あ、確かに何か空間があるね。音が響く」
そのまま、モグラの穴のように、進んできた進路を右に曲げる。
「「イベント発生。「スキル学教授の龍」
攻略難易度、推奨レベル、68レベル。現在、攻略するのは非推奨です」」
「えぇ、サブイベント? 面倒だな」
「お母さん。私ちょっと挨拶したいです。会うのは久しぶりなので」
余計に面倒だな。
そう思いながら、少しツルハシの握る強さを強めた。
青はそれに答えるように、優しく手を握り返した。
行きたいんだろうな。青ちゃん。
「分かった、行こうか」
そう言って、掘り続けると、完全な空間、いや整備された廊下と言った方が良い空間に出た。
「おや、お客さんかい? これは珍しい」
不意に声がする。音源の場所が分からない。
「「ワイバーン「
「役職持ち?」
「「左様です。属性「知」、つまり知的属性はプレイヤーと同じく役職を持っています」」
「そうですね、話は終わりましたか? 所で何故、吾の書庫に土足に踏み入るような真似をするんですか?」
その声が終わると、同時に、周りの景色が一変した。
「「戦闘を開始します。今回は戦闘が可能な水上戦専用空間が指定された為テレポートしました」」
「ねぇ、君。吾の書庫に入った罪は重いよ? それに、青ちゃんをテイムした事も、武装展開」
何あれ?
ぶっとい、12本の筒が、なにもない所から出てきた。
案の定、その砲口らしき物は私に向かっている。
「弾薬指定、「榴弾」砲撃開始」
轟音と共に筒が沈んだ。
その、打ち出された砲弾は私に向かって進み始めたのは理解出来た。
しかし、間に合わない。避けられない。
ある点を中心に円を描き、左右に3つずつ前を下に後ろを上に整列している六基の連装砲。
その中心に居るのは、ワイバーン、?
ん? ワイバーン? 男の子じゃないの?
「「被弾しました。HPが0になりました。碧眼によりHPが全快しました」」
あー普通に痛い。
「なっ?! 何故だ! 山城の主砲をもろに食らって無傷だと?」
「あはは、ごめんね。私もよく分かってないんだ」
「魚雷発射!」
被弾。
「「魚雷によりHPが0になりました。碧眼によりHPが全開しました」」
やっぱり痛い。あーイライラしてきた。
「スキル
「「使用しました。クールタイムは10秒です」」
「ライレイ?! 待って! お姉さん。待って。それは禁術だから待って」
「あれ? おかしいですね。戦いを挑んてきたのは。そちら側なのに、何腰を抜かしているんですか?」
「「クールタイムが終了しました」」
「蕾霊使用」
「「状態異常、「蕾」が回復しました。「開花」が付与されました」」
「待って、お姉ちゃん。吾が悪かったから! ライレイだけは、やめて」
「分かった、30秒だけライレイを使うのやめてあげる」
(お母さん、戦闘スイッチ入っちゃてる。違うかもイライラしてるだけかも)
「違う! そうじゃない。 ってかそれクールタイム! ひぃっ! 速い」
「早く、その主砲で攻撃しようよ? ね? 戦お?」
「待って近い近い!」
「「クールタイムが終了しました」」
「蕾霊使用、その後、スレイヤーワイトの状態異常回復効果無効を無効化」
「「処理中です。5、4、3、2、1、完了しました。結果、状態異常「
「
「ねぇ僕ちゃん? 私と一緒にお手々繋いでお散歩しましょ?」
「い、イヤです!」
「そう? じゃぁナデナデしてあげるね」
そう言って、私の胸辺りしか無い身長の男の子の頭を撫でる。
二つの角があって、その間をナデナデ。
「あ、ああああぁ、」
「蜜柑に罌粟を付与しました」
「僕ちゃん。喧嘩はそんな簡単に売っちゃ駄目だよ?」
そう言ってハグをした。
「「蜜柑に罌粟を付与しました」」
「分かりました。これから気をつけます」
(知らない人の為に説明すると、ケシの実から出る白い液体は、アヘンとかモルヒネの原料です。あとは察してね。青との約束だよ)
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