第5話

「所で、「スレイヤーワイト」とは何じゃ?」


「簡単に言えば、なんだろう、スキルスロットを使わない、やべー奴。その効果は、破壊不可の付いていない防具武器に対しては、その耐久値、HPを20%削る。でも破壊不可が付いてたら自分がダメージを食らう」

「それで?」


「二つ目は、状態異常自動回復の無効化」


「弱いのじゃ!! それに途轍もなく「幸運のコート」と相性が良いのか悪いのか分からんのだ!」


「確かにねー私にもわからんなぁ」


「それに他にもあるじゃろ? 余をテイムした時の報酬って」


「うーん。何を受け取った忘れたなー 確かスキルが後2つだった? でもスキルスロット無いし使わないと思うけど」


「ふむふむ。ちょっと所持品を見せておくれ」


「え? あ、良いよ。でも、私お菓子買ってくるから」


「分かったのじゃ」


 そういって、席を外す。


 お菓子って何処に売っていたっけ?


 ショップのおじちゃんに訊いてみよーっと。


「ショップのおじちゃん。お菓子って何処に売ってる?」


「おう。お菓子か。聞いて驚くなよ? そうだな。お菓子もここで売ってるぞ!」


「本当?」


「おう! 何が欲しい?」


「りんご飴! あの甘い赤いやつ!」


「りんご飴か、分かった。ほれ、20Gだ」

「ありがとう、おじちゃん!」


「お安いご用よ!」


 礼を言って、その場所から離れる。


「「通知。テイム生物「狐火」の周回準備が整いました。開始しますか?」」

 周回? あぁ、自動周回の機能有ったんだ、このゲーム。あ、でも自分には使えないっぽい。


「キツネちゃんに通知して。何しに行くの?」

「「送信しました」」


「「通知。「狐火」より、ちょっと興味深い物を見つけたのじゃ。それには、ちぃとばかし素材が足りないようじゃ。だから余が取りに行ってくる」」


 なるほど、そういう事でしたか。


「「周回の許可を確認。「狐火」の行き先は、漆森最深部です。彼女の持ち物は汎用バックです」」



狐火キツネビ


 

 まさか、あんな物が報酬で手に入るとは思っても居なかったが、まぁ手に入れてしまったもの、は仕方ない。

 これでは、宝の持ち腐れだし、使わなきゃ損なのじゃ。


 とにかく、素材とか集めないと。


「「前方に敵対クリーチャーを確認。戦闘を行いますか?」」


 はい。


「「敵対クリーチャー「デスドラゴン(T7)」です」」


「「戦闘開始」」


「スキル「碧眼」「陰火」を自身に使用」


「「状態異常、「呪縛」「幽闇」「狐火」「下限拡張(-1000)」を確認しました。耐性が有るためダメージは軽減されます。27/sのダメージ」」


「「警告。残りHPは10%です」」


「自身を標的に、自身を対象として「狐火」を使用」


「「HP1000(1000÷対象残りHP×標的最大HP値10%)減。現在のHPは-997」」


「自身を対象として、デスドラゴンに「狐火」を使用」


「「デスドラゴンのHP32600減。相手のHPは0です。戦闘を終了します。アイテムを取得、「デスドラゴンの生き血」×5」」



 そうこれじゃ、これ。


「「デスドラゴンの自動捜索を開始します」」


 こんな為に、森の主に成った訳じゃないのじゃ。

 父の背中を追って鍛錬をしたのが、バカバカしい。


 でも、未だに父には追いついていない。

 それに、父とは敵対陣営になってしまったが、とても惜しい。


 特にHPとかは、未だに父の1000分の1にしか満たない。速力はもう等しいのだが。

 だから肉弾戦では、負けてしまうのぉ。

 スキル有りきの試合ならまだしも。


「あーもう! 服が鬱陶しいのじゃ!!」 


 スキン変更とかできないのかね。初期スキンが巫女服だからなのか動きにくい。

 水着とか水着とか、水着とか、防護力は無くて良いから動きやすいスキンを余に。

 だって、父は体操服じゃぞ? 動きにくい巫女服を着て戦ってほしいものよ。


 そう言って、天に声が届いておれば、水着など、とっくに存在するがの。


 

 それにしても、主の種族が余と同族になるのが楽しみじゃ。

 そうすれば、主が買った服も余が着れるようになる。


「あ、狐火さん何やっているのです?」

 不意に背後から声が聞こえる。


「なんだ、お主は、竜人か。驚かせるな」

「そんな僕、声大きかったです?」


「いや、そうじゃなくてな」


「よくわかりません。所で何をやってらっしゃるのですか?」


「え? あぁ、デスドラゴンの生き血を集めているんじゃよ」

「デスドラゴン? またなんでです?」


「ちょっとな。アイテム生成で必要でな」


「それって、多分、霊属性の血液なら何でもいいんですよね?」

「そうじゃよ? なぜ分かった」


「なら、僕の血液あげますよ。残り何個ですか?」

「15個、だな。でもいいのか? お主のHPがかなり減るのだぞ?」


「あっそれに関してはどうでも良いです。直ぐに回復するんで」

「なら、いいのじゃが」


「あの狐火さん。その喋りは方辞めておいた方が吉ですよ? ついでに喋り方の魔導書の渡すので使ってください」


「わ、わかったのじゃ」


「はい。これ血液入り瓶×15個と、喋り方変更の魔導書。せっかく可愛い狐っ娘なのにその喋り方は一部のマニアを除いて受け入れられませんからね。僕も喋り方変えましたもん」


「そうなのか? 使ってみるのじゃ。では血液ありがとな。余は用が済んだので帰宅するかのぉ」


「そうですか。じゃ、あの主さんによろしく伝えておいてください」



〜ショップ周辺のベンチ〜


「主ー! 帰ったよー!」


「え?喋り方変えた?」

「うん。竜人殿に貰った魔導書を使ったのです」


「ふーん。可愛いじゃん」


 なにやら、前の喋り方が混ざっているような気がするが、気にしない。というかそういう所可愛い。


「で、私のカバン、? パンパンだけどアイテムは何を?」


「アイテム? あ、そうそう。そうなのです。余のテイム報酬に種族変換契約書が有ったから、それに使う人魂と血液をとりに行ってたのです」


「ふーん、その契約書でなんの種族に変更出来るの?」

「えーっと。基本的に素材さえあれば、何にでも成れるけど、どうせなら余と同じ「妖狐」はどうかな、と思ってのです。それで、それに必要な、素材を集めてきた感じです」


「そうなんだ。で、出来上がったのが、その血に濡れた紙切れ?」


「紙切れ言わないで。ほらこれにサインして」


 言われるままに、名前を記す。

 しかし、記し終わると、その文字は燃え消えた。


 次の瞬間、お尻の上、尾骶骨あたりに何やら温かい物が触れている事に気づいた。

 動かすと動くそれは、感触的に柔らかい毛が生えている。

 それは徐々に大きくなって、ついには下着から飛び出し、スカートから姿を見せた。


 抹茶オレのような、淡い緑色の毛並みを持つ尻尾は、一本しか生えていないものの、最終的に自分の胴体と同じ程に大きくなった。


 当然、耳も頭に生えていた。


「「種族変更が完了しました。種族「ヒューマン」から種族「妖狐+」に変更されました。属性、光→霊+&植。


 種族変更ボーナスにより、スキル拡張+4を獲得。




 新規スキル取得。



 スキル「人魂改(T?)」


 スキル「蕾霊ライレイ(T?)」  


 プレイヤーレベルが上がりました。2→6


 自己空間が開放されました。ワールドサイズは無限です。しかし、このワールドデータは本機器に保存されます」」


「ねぇ、狐火ちゃん。自己空間が開放されたよ。何が言いたいか分かる?」


「えっと某キューブクラフトゲームと似通ってる空間です?」

「そう、このゲームの一番の醍醐味だよ」


「なら本家をやれば良いのでは?」

「何を仰る。本家は、髄まで食い尽くしたよ」


「なるほどです」

「あと、このゲームはその空間で行った事が本サーバーに持ち込めるって事だから、自動収穫機で、溢れかえった昆布とかも、ショップのおじちゃんに売れるって問い合わせの返信で知ったんだよ。それに自己空間でしか現れないケモっ子とかが出現するし。もう沼るしかないでしょ。それに装備とかは無限に強化できるし、その強化に応じて敵モブの強さが変わってくるんだよ?! これは本家より楽しいって!」


「オタク特有の早口なのです」



「おっしゃぁ!!!!!! 私の本編始まる!!!!!」


「次回、本編がやっと始まるのです。作業厨なのです。怖いのです。一応、余はこのゲームのダンジョン管理者なのに、、、」

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