【完結】視聴率50%のサッカー世界大会初戦で5分でオウンゴールをしてしもうた

西東友一

第1話

 


 悲鳴が湧いた。

 

 

 阿鼻叫喚と言えばいいのだろうか。

 こんな悲鳴は私のサッカー歴20年の中で聞いたのは初めてだ。

 

 大事な大事な世界大会の初戦。

 日本で開催され、日本の応援客は9割以上。

 のちに聞いたけれど、テレビの視聴率は令和に入って初の50パーセントだったらしい。


 私は頭を抑えた。

 ・・・というより抱えた。


 まだ、おでこと頭頂部の間の部分がジンジンする。

 こんなに感触が痛いと言うのも初めてだ。

 

 皮膚の部分はまだいい。

 私は脳震盪でも起こしたんじゃないかというくらい眩暈がした。

 

「ほらっ、切り替えるっ!!!!」


 キャプテンの桜さんが声を出して、私の肩を叩いてくれる。

 いつもなら、肉を出されたパブロフの犬がよだれを出せるように、今みたいに励まされながら肩を叩かれれば、条件反射で切り替えられる筋肉バカが私の持ち味。

 

 けれど、この時ばかりは切り替えができなかった。


「・・・っ」


 いつもなら、私の元気な返事がくるのに、それが返ってこない違和感を桜さんも受けたのだろうけれど、この異様な雰囲気と点が入ってしまったプレッシャーでそのまま先へ行ってしまった。

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