異世界卒業物語
@yaminabe4
プロローグ
ザク、ザク、ザク。
踏み固められた道の上を、身体をすっぽりとフードで覆った青年が歩いている。
青年は真上に輝く太陽を見やり、時折方角を確認しながら進む。
青年の立ち振る舞いは、一見無造作なようで、しかし隙がない。その年に見合わず、疲れを見せない足取りで、旅人用にしてはいささか小さなリュックサックを背負っている。
青年が足を止め、前方の木陰を見つめる。
木と草に覆われてはいるが、枝葉に被る形で、人口の石板が配置されている。
石の周囲の草木が成長するほどの昔から、それはそこにあったようだ。
青年はそこに手を入れて蔦を退けると、その石版の様子を確認する。
かなり古ぼけて、薄れてきているが文字が書かれている。
『この先、ダータ村』
青年は宝物を壊さないようにする子どものような手つきでその文字をなぞった。
「もうそろそろか」
青年は名残惜しそうに手を離し、ゆっくりとその場を立ち去っていった。
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