第2話 社畜になったユウシャ

 聖剣、勇者、魔王……。この3つの単語から連想されるものといえば……


「もしかして、ここは異世界ですか?」

「いいえ、勇者様がいた世界が異世界です」

「なるほど」


 現地人にとっては俺が元いた世界が異世界になるらしいが、どうやら俺にとっての異世界に召喚されたようだ。とはいえ俺は勇者なんてガラじゃないし、剣なんて振り回すどころか見たことすらない。ここは謹んで辞退させて頂こうと思う。


「俺が勇者をやりたくないと言ったらどうなりますかね。お家に帰してもらえますか? 」

「いいえ、このまま城から放り出します。勇者様が勇者としての務めを果たすのであれば、城であらゆることをサポートさせて頂きます。」


 つまり、俺が勇者をやらなければ異世界で捨てられるが、勇者をやるなら衣食住は保証されるらしい。働かざる者食うべからずということか。結局俺は異世界に来てもかいしゃ労働者いぬということだ。


「はぁ、分かりました。勇者やらせてもらいます。ただ、あんま期待しないでくださいよ」



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