工場観察
島尾
工場観察
子供時代、なんとなく工場というものを「男性的」と感じていた。
あれは小学生のころだった。父の職場である板金工場に、「親の仕事場を見ておかなければならない」と言われて、現場に入った。
辺りは汚く、シンナーのニオイがしていたと記憶している。至る所に鉄板や鉄の棒が置かれ、ごつい機械が数メートルおきに配置されていた。
子供時代、そんな「汚れ」を見て、「荒々しくも豪快に働く仕事男」をイメージしていた。鉄板一つ見ただけで、「男」を感じ、何重にもわたって包まれているような安心感を抱いた。
*
現在、その工場で仕事をしている私。
鉄板を見て感じることと言えば、「金属光沢がある」程度である。
工場観察 島尾 @shimaoshimao
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