01:48
ロベルト
始まりは
息苦しい。
何もかもが息苦しい。
起きる事も、
働く事も、
食事を摂る事も、
寝る事も、
息苦しさとは不自由さ。
いや自分が悪いのはわかっているんだけども。
後戻り出来ない人生というゲームの中で数多の選択肢から自分の目と頭で選び抜いたルートはとても華やかと呼べるものでは無い。
自分の意思によって作られた自分の生活は子供の頃思い描いていた世界とはかけ離れていた。
朝早くに起きて仕事。
薄給激務で社会の歯車の回転から振り落とされないように必死にしがみつく。
安月給の俺には昼飯に気になる店に行ってみよう等とは思わない。
総額100円もかかっていない愛情の無い手作り弁当。
食って少し寝て疲れを誤魔化してまた働く。
そして気づけば帰り道に夜の帳が降りている。
そんな時間に帰って何かしようという気すら起こらない。
風呂を溜める時間が勿体無いからシャワーで済ましレンジで温めた野菜と魚の缶詰で晩飯を済ます。
息苦しい。
これが子供の頃夢見ていた未来の現実だ。
絵日記にしても毎日同じ絵を黒と灰で書き終わる。
色の無い生活。
もう少し携帯をいじっていつの間にか寝てしまおう。
…
いつの間にか眠りについていた、
このまま朝まで寝ているかと思いきや俺はふと布団から飛び起きた。
何だ今のは。
夢か。
何なんだあの夢は。
怖かった。
何が怖いのか良くわからない、けど飛び起きた瞬間俺は間違い無く恐怖していた。
体も妙に熱くて汗をかいている。
怖かったのに、
なのにあの夢は、
何だか忘れてしまうのが勿体無い物のように思えた。
だから俺は、
自分の見た夢を書き残す事にした。
夢は起きると時間が経つにつれてどんどん記憶から薄れていってしまう。
これを急いで書いて、書き終わったらまた寝よう。
しかしえらい夜中に起きてしまったなと、時計に目をやると、
01:48
思い出しながら書く夢は鮮明に色付いていて、
息苦しさなんてとうに忘れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます