第26話 魂の行方

辛うじてこの世に

形を留めている僕は

リビングに崩れ落ちて

画材にまみれた

その隙間から


魂が漏れ出て

どこかへ行こうか伺っている

魂というものが

あるのであれば、だけれど


魂ってなんだろう

とは違う気がする

あえて言うなら

そうだな

ありきたりだけど

僕らしさかな


崩れた僕から

魂が抜け出たなら

崩れた体は

もう僕じゃないって事かな


それでもいい

僕らしさってなんだよ

らないよ

今日も今までみたいに

通学する予定だったのに


なんだよ急に

おかしくなって

学校に行かなきゃ

今日も今までみたいに


今までみたいに……


今までみたいに

いかないからこんなざま

自分と先輩とをあざむいて

楽しいですって顔してさ


そうだよ

崩れたこの体こそ

ようやく僕らしい

先輩に迷惑かけてさ

そうだろろくでなし


自分がどんな表情してるんだか

わからないけれど

僕は顔であろう部分を持ち上げた


何か言ってくれたらいいのに

目の前の人は黙って

黙って……

ああそうか、

きっかけはいつも僕だった


僕らしい言葉を

僕らしい声で

僕らしい感情を

僕らしいタイミングで


「先輩、卒業しないで!」


いきなり過ぎだけれど

かなり

僕らしい






あっ、

(きっかけは傘だよ!)




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