第19話 もちちの心
クリスマスとか
大晦日とか
新年とか
僕にはただの事象
ケーキとか
年越しそばとか
おせちとか
形式的な消化物
陸も空もいない
何やってるのか知らないけど
僕よりマシ
なんだろうな
父さんと母さんもいない
どこ行ってんだか知らないけど
僕だけひとり
なんでだろう
テーブルと僕の頭に
挟まれたもちちのクッション
平べったくなって
(先輩何してるのかな)
もちち(……)
クリスマスも
大晦日も
新年も
(特には気にしてなさそう)
ケーキとか
年越しそばとか
おせちとか
(家族の事って聞けなかったな)
「あら、海?今日もダラダラして」
母さんが帰ってきた
「商店街で餅つきしてたから買ってきたぞ」
父さんがバラバラとお餅を置いた
(もちち、先輩これ食べたいと思う?)
もちち(……)
(もう会いに行ってもいいかな?)
もちち(……)
(もしかして受験勉強真っ只中?)
もちち(……)
(もしかしてって絶対そう!)
もちち(……)
(もしそうなら元気をつけなきゃ!)
もちち(……)
僕は
ざっと顔を洗って
ぱっと着替えて
お餅を4つ
グッと握りしめた
デリカシーのない僕だけど
デリバリーくらいはさせて
(お正月を届けるだけ。ね?)
もちち(……)
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