第11話 コーヒー党に

遂に来てしまった

放課後

付いて来てしまった

喫茶店


先輩が開けたドア

ベルの音

がチリリリン


案外繊細な僕のコア

先輩の横

で小さくなる


「いらっしゃいませ」

に捕らえられ

(いらっしゃいました)

と唱える


奥のテーブル

メニュー表

(慣れてるなぁ)

(きっと常連なんだ)

心の奥の実況


「コーヒーだけど、そっちは?」

(えーっ)

(こっちはまだ)

(だけど)

「僕も同じで」


自分で選んで頼めないのは

弱さ

なのか

気分で迷って探せないのは

愛しさ

なのか


二人分のコーヒーの香り

二つ分の時を包む


「コーヒーお好きなんですか?」

なんか救い難いほど普通の質問

「うん」

だよね手堅いけど震えるカップ


好きなものが

一つわかった

これって

びっくりするくらい嬉しい


一口ひとくち

選ばなかった苦さを知る

二口ふたくち

知らなかった苦さにまい


それはあなたの苦さ


コーヒー党に

僕は

清き

1杯を


捧ぐ


(苦っ)

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