第6話 思い出に重ねて

線香花火の放課後

小さくまとまった下駄箱から

靴を出す


いつもより西に傾いた

日差しを受け右足から

歩み出す


煙は追われる事もなく


僕が散々椅子として使った

玄関脇の植え込み

秋のひまわりには

種と暇がある


その視線上

1回だけ閃光スパークする火花


影を背負った

先輩がいる

まさかの展開に

脳みそは崩壊


何か

言わなきゃ

何か

何か


慌てた僕はつまずきながら

玄関を出る


「先輩、ありがとうございます」


これで合ってる?


でも、まだ何か言いたい


「僕、うれしいです」


これは合ってる


久しぶりに僕は浮かれてる

ホッチキスも悪くない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る