第4話 季節外れのアゲハ蝶

Uターンの帰宅路

無言は廻遊かいゆう

足音の夕暮れ

近くて遠い横顔


先輩は

自動ドアに吸い込まれ

僕は

空中に浮かんだ足跡を


どうにかしたくて

手を伸ばす

刻は

消失を掴んだ


浅はかだよな


どうすることもできず

背中を

自動ドアに写して

迷宮に転がり込んだ


どこに進んでいるのか

どこで迷っているのか

何を思っていいのか

わからない迷路


右手を壁に添え

歩く

僕のつたない一歩に

蝶が着く


迷路で

Uターンを繰り返す

その意味も

消失しながら


靴の裏に付いた

鱗粉の意味も

わからないまま

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