第3話 ただそれだけ

先輩が何も言わず

歩くから

僕も歩きはじめる


先輩の何がわかる

訳でなく

心はうろつきはじめる


あの時

「好きです」

って言ったけど

相手にして

もらえてたのかな?


たぶん

きっと


先輩は

僕の気持ちを

疑うこともなく

わかっててくれて

それでも


何か

迷ってる


曇り空

は透けたあお

枯れ紫陽花

の抜けた青


初秋の空気を

吸い込んで

呼吸のすずり

ぼくが浮く


先輩はマンションに入っていった

僕はエントランスで止まった

グレーの

デートの

End

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