ギルド内での協議

 ここは大草原の一画。そこにセイマ達のギルド【エターナルプラネット】がある。


 あれからセイマ達は、なぜ見知らぬ土地にいるのか話し合っていた。


 メンバー全員が中央のテーブルに集まり、マナセリアは真剣な表情で話をしている。


「……そうねぇ。色々と考えてみたけど。あくまでこれは推測だけどね」


 マナセリアはそう言い、セイマ達ををみた後一呼吸おき、更に話しだした。


「見たこともない空と景色に、なぜか太陽が3つある。そうなるとここは、私たちがいた世界とは違う、異世界だと思うのよね」


「太陽が3つって!?普通、太陽って2つじゃないのか?」


「まさか、外に出て気づかなかったの?まぁ、セイマらしいけどねぇ」


 そうセイマとマナセリアが話をしていると、剣士風の女がその会話に割って入ってきた。


「ちょ、ちょい待て!じゃあウチらは建物ごと、この異世界に転移してきたってことか?」



 この女はアルケミル・スチル、18歳。じゃっかん魔法が使える剣士だ。


 セイマのことが好きらしく、いつも姉のように見守り気にかけている。心根は優しいのだがきつい性格で、男っぽいところがある。


 緑と黄緑が混ざったような髪で、長い髪を右上よりに縛っている。



「ええ、そうなるわね。それでみんなには、やってもらいたいことがあります」


 すると、羽根のついたカチューシャをつけた金色でショートヘアーの眼鏡っ子が、そっと右手を軽く上げ自信なさげに口を開いた。


「あ、あのぉ、マスター。それって、もしかしてこの世界の調査ですか?」



 この眼鏡っ子はカシス・カルラ、16歳。カードを使った魔術を得意とする魔道士だ。だが、どちらかと言うと、戦術は頭脳戦の方が得意である。


 普段は自信なさげでおっとりしているが、戦闘になるとはりきりすぎる。


 だが落ちつき冷静になれば、みんなに的確な指示をだす事ができる。優れたIQの持ち主である。



「カシス。何か心配なことでもあるのかしら?」


「心配というか……。ただ分からない土地で、やみくもに歩いても危険じゃないかと」


「確かにそうねぇ。そうなると、何班かに別れて調べた方がいいわね」


 すると、短髪で銀と青が混ざった色で左目を覆うほどに前髪が長い男が、めんどくさそうな表情で話しだした。


「班編成か。俺は群れるよりも、どっちかといえば1人の方がいいんだが」



 この男はティール・テッド、22歳で格闘家である。


 兄貴分的な存在だが、頭を使うのが苦手で面倒なことも嫌いだ。


 どちらかというと、頭よりも身体を使う方が得意で、特に喧嘩が好きである。そして、しっかりしているとはいい難い。



「ティール。あなたは相変わらずねぇ。だけど、ここは異世界。そうなると、カシスの言う通り。やみくもに、動かない方がいいと思うのよね」


「はぁ。まぁ、仕方ねぇか。で、どう編成するんだ?」


「そうねぇ。ん〜、セイマとハルエルを組ませると、何かと厄介そうだし。それにスタナシアは、セイマとじゃないと、会話もままならないからなぁ」


 そう言いマナセリアは考えていた。すると、紺色と黒が混ざった色で、耳にかかるくらいの長さの硬い髪の男が口を開いた。


「……俺は誰と組もうが構わない。だが、セイマとスタナシアを2人だけにするのは反対だ」



 このいかにもセイマを敵視している男は、ハルエル・ダウエン、19歳で格闘系の風属性魔道士である。


 セイマをライバルと思っており、スタナシアのことが好きでいつも視線を送っている。


 だが、セイマはハルエルをライバルとは思っていない。もちろんスタナシアは、セイマが好きな為、ハルエルのことをなんとも思っていない。


 何事にも冷静に対処できるが、ムッツリな所があり妄想が激しく、たまに暴走することもしばしある。



「……ハルエル。あなたが反対と言ってもスタナシアは、セイマとじゃないと仕事をしてくれないのよねぇ」


 そう言いながらマナセリアは、スタナシアの方に顔を向けた。


 スタナシアは、マナセリアに見られビックっとし、セイマの服をつかんだ。


「……」


(ここは異世界。だけど何で私のペンダントが?)


 スタナシアはそう思考をめぐらせていた。するとセイマはあることに気づき、四方八方ギルドを見渡した。


「そういえば、師匠がいないみたいだけど?」


「あら。確かにオウガルドの姿が見えないわねぇ。まぁいつも通り、夜遊びでもしててギルドに来ていなかったのね」


 マナセリアは、頭を抱え呆れた表情になり、テーブルの一点をみつめている。


 そして、その後セイマ達は、どう編成したらいいか、しばらく議論し合っていた。

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