沈黙の先

「久しぶり。」

「…うん。」

久しぶりに会っても、何も変わってない。

「…」

「…」

そして忘れたはずの気持ちも、変わっていなかったらしい。

「…」

「…」

言うことばなど出てこない。

私は変わらずあなたを好きだったようだ、などと気づいても今更何も言えない。

一体どれだけ傷つけたことか。

それを思えば、何も言えやしない。

「…」

「…」

「…あのさ。」

「…うん。」

「俺…お前のこと、恨んだりしてないから。」

「…っ」

ことばより先に涙が出た。

そっと抱き寄せられる。

「好きだ。ずっと忘れられなかった。」

耳元で囁かれるそのことばに涙が止まらなくなった。

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