南都編 その10 紅鎧の騎士(チンピラキラー)

新年明けましておめでとうございますm(_ _)m

今年もまだまだハリスくんの冒険・・・冒険?は続きますのでよろしくお願いいたします♪


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そんな限りなく危険人物の集団にしか見えない俺御一行であるが、六度目に目を覚ました根性のある兄ちゃんに案内してもらったアジトには似たような小悪人の集団がいただけでであった。

つまり交渉相手にならないただの殲滅対象でしか無く。


アレだな、こういう悪所って大体は義侠心溢れる親分みたいな人がいるはずじゃないですか?

で、その古い体質の任侠団体が金目的の新興の暴力集団に押されてて、抗争が始まり、親分が殺されて、一宿一飯の恩を感じた高○健が長ドス持って討ち入るするみたいな。

そんなおっさんを探しに来たんだけど・・・いなかった。

高○健も鶴田○二もいなかった。みんながみんな小悪党だった。


「俺、一体何をしたくてここに来たんだろう?」

「ここにきて、あれだけ私を怖い目にあわせておいて、まさかの目的を見失っちゃったんですか!?・・・はっ!?もしかして、最初から閣下は私の目の前でかっこいい姿を見せて私を惚れさせるためにこのような手の込んだ事を・・・」

「ヤマナシ姉にそんなことするメリットねぇじゃん」

「一応これでも異世界勇者ですよ!?なおかつ美少女・・・と言えなくもない女の子ですよ!?少しくらいはあると思いますけどね!?」

「だってお前は・・・最初から俺に夢中だろ?」

「やだ、この人カッコいい・・・今すぐここで抱いて?」


などと小芝居をはさみつつ色々と街なかを回ってみたのだが・・・やはり全員小悪党。どこに行っても小悪党。

小悪党と味○糖って似てるよな!みんな知ってるか?ぷっ○ょグミの入れ物はエッチな小道具らしいぞ?使い方は秘密だけどな!

完全に叱られそう、むしろ法的処置をとられそうな話題はこれくらいにして。

斬り捨てるほどの悪人でもなさそうな連中は紐でくくって後ろからぞろぞろと付いてこさせてるからものすごく嫌な電車ごっこみたいになってて非常に歩きにくい。

というか移動に時間がかかって仕方がないので一度スラムから外に出る。


うん?犯罪者がよくそんなに素直に歩いてついてくるなって?

だって逃げようとしたらその時点でサーラが処すからね?

『牛肉?or鶏肉?』どころか『歩く?or死ぬ?』の究極の選択だからね?

それも有無を言わさず即実行。そりゃ素直についてくるさ。

てことでそんな集団がスラムから出てくるのを発見した王都の衛兵さん、何事かと集まってきたのでそいつらを引き渡して後のことは丸投げしておく。


「さて、もう面倒だし丸ごと近隣一帯を焼き払うか」

「物騒ですね!?えっと、さすがに怨念と怨霊がコラボしそうな場所にデパートを建てるとか勘弁して頂きたいんですけど・・・私、こう見えておばけとか大の苦手ですので」

「うん?ああ、いや、今から火を付けるとかじゃないからね?さすがにちょっと疲れたから大量虐殺しとくかみたいには・・・たまにしかならないからね?ちゃんと自分で出て行く人間はどこかに振り分けるからね?」

「えっ、たまになるんですか・・・?あと自分で出ていかない人はどうなっちゃうのかとか考えちゃ駄目なんですよね・・・」


だって出て『いけない』人間はもちろん連れ出すけど出て『いかない』人間のことまでは俺の知ったことじゃなくね?


てことで一旦帰宅したあと、ウサギさんについてきてもらって現地(スラム)にとんぼ返り。

ウサギさんにお願いしてスラムの回りを高さ20m、幅1mの壁で囲んで完全に封鎖、王様にお願いしてそれなりの人数の衛兵を集めてもらい出口を一箇所だけ開く。

『一週間後にすべてを焼き払うので全員そこから出ておくように』と風魔法で中の人間に伝えたらまたまた衛兵さんに丸投げしておくだけの簡単なお仕事である。


もちろん出てきた人間は鏖(みなごろし)・・・なんてことにはならないからね?

先の戦争でどこもかしこも領民が減ってるからさ。そちらに振り分けて暮らしてもらおうという。大量の空き家もあるので冬場だけどスラムで暮らすよりはまともな生活が出来るだろう。

そもそも別に好き好んでこんな場所に住んでる人間なんて多くは居ないんだよ。普通に働く場所さえあればちゃんと働きたい人間が大多数だからさ。

もちろんそれ以外の人間、悪意と自分勝手が服を着て歩いてるみたいな連中はどこにでもいるんだけど・・・結構な数をすでに処理してあるし大丈夫だろう。


それでも暴れる馬鹿がいるかもしれないので


「わん子隊員及びスティアーシャの連れてきた元パーティメンバー改め『チーム無駄飯喰らい達』に仕事を与える!」

「ワン!ではなくてはい!だワン!」

「えらい言われようだね・・・ちゃんと公爵様のおやくにたてるように毎日訓練に励んでるんだからね?」


迷宮都市で退治したヒュドラの素材で作った『赤い全身鎧』を着せて、バフをもりもりにした鋼の剣を持たせた集団に暴動の鎮圧を指示しておいた。

ちなみに彼女たち、この時の騒ぎを鎮圧するその姿を見た人間に『赤揃え』ならぬ『紅鎧(こうがい)の女騎士』と呼ばれ、恐れられることになるのは別のお話しである。



てことで一週間後、あらかたスラム住民が出てきたので最終確認。

出てきた人間?とりあえずの食料を持たせ、案内人を付けて順次王都周辺の領地に送り出した。

必然的に残っているのは自力で出てこれない人間と出てくる気がない人間。

衛兵さんには申し訳ないが、あばら家の確認などしてもらいながらスラム街から自力で出てこれない人間を運んできてもらう。

うん、動けない年寄りとか動けない怪我人が千人単位で大量に残されてた。


「どうせわしらは動けんのだ、そのままうちで死なせとくれ・・・」

「腕も無いような人間がスラム以外でこれからどうやって生きていけるっていうんだよ!」

「あら、可愛い顔のお兄さん、こんな化け物みたいな姿になった花売りに何かごようかしら?」

「うう・・・ううう・・・」


とりあえずまとめて治療して他の連中と一緒に近隣の街に振り分けておいた。

そこの婆さん、俺のことを拝むんじゃない!!

そう、これはすべて聖女フィオーラ様のお力なのだから。

皆で崇め讃えよ!『ジーク・フィオーラ』と!

いや、駄目だ、ここは王都、普通に本人の耳に入ってしまう。

叱られてしまう、絞られてしまう、搾り取られてしまう。

そう、これはすべて聖霊様のお力ということで口裏を合わせておくように!

六大聖霊様バンザイ!!黒柴とかまったく何もしてないけどバンザイ!!


あ、スラム街跡地はもちろん灰燼に・・・ではなくウサギさんとラッコちゃんにお願いして整地整頓、資材や素材などは無駄なく回収したあと収益は元スラム住民のこれからの生活費用にまわしておいた。

もちろんそれらを着服するようなおバカな領主はいないと信じている。

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