南都編 その6 母体に・・・障るのです

去年は一人ずつ順番に入場のパートナーを務めたお嬢様たちの入場。

今年はそれだけじゃなく、その他の奥さんや他所の国のお姫様なんかも一緒だからむっちゃ大人数になってるラポーム家御一行。

他所様の三倍の人数はさすがにどうなんだろうか?

左右から腕を組んでるというか手を繋いでるのはミヅキとちびシア殿下だしさ。


いや、右手のミヅキは正妻だから何の問題もないんだけどね?

左手はどうしてちびシア殿下なの?王族だから?

それなら嫁シアもいる

「わたしはまだ小さい子だから手を繋がないと駄目なのよ?」

「それならミーナもちいさい子なのです!」

新たな戦いの火種になりそうだからこれ以上文句を言うのは止めておこう。


ヴィオラ?いや、彼女は普通に年長さんだから!

今日はメルティスとサーラもドレス姿・・・さすがに王国内に反乱勢力とか残ってないはずだしさ。

一応奥さんと実家(サーラの実家含む。メルティスの実家は遠いから不参加らしい)の全員に数種類の防御系魔道具を配ってあるし、もしも何かあっても殲滅する時間くらいはどうにかなるだろう。


てか王国内の年若い美女、美少女の大半が俺のまわりに集まったみたいになってるからものすごいことになってるよなこれ。

それも圧倒的色彩と斬新なデザイン(和風)のドレスを着てるもんだから他のご令嬢や奥方様とは色んなモノが隔絶してるしさ。

年若い貴公子からの怨嗟の視線と女性全員からの羨望の眼差しが集まるのなんの。

お姉様方のドレスもご相談しながら用意したからそちらも目立つはずなんだけど・・・うちの入場のほうが先だったからね?


ちなみに入場後は国王陛下の挨拶が終わるまで各貴族家により規定の位置での待機となっているからうちの嫁にちょっかいをかけてくるようなおバカはいない。

いや、もしも自由行動だったとしても去年のアレ、帝国の第二皇子がアリシアに無礼をはたらいた時に俺が皇子を処置しかけたって噂が広がってるから挨拶以外で話しかけてくるような命知らずもいなさそうなんだけどさ。

さすがに話しかけられただけでキレ散らかしたりはしないんだけどなぁ。

もちろん手でも握ろうものなら『頭皮が光り輝く祟り』がそいつだけでなく、一族の男全員に降りかかるんだけどな!


俺の後残りの三家『ブリューネ家、ヴァンブス家、キーファー家』の順で入場が終了するといよいよお待ちかねの王太子と王様が登場!

・・・とくに待ってもいなかったけどさ。

ちなみに二人の衣装もヤマナシ姉が『いかにも王族!』って感じの革命前のフランスってイメージでデザインしてある。

何その一切頭の中に姿が思い浮かばない情報量皆無なたとえ。

てか去年の年末に知見を得てからそれなりの日数が経ってる今になってアレなんだけど・・・王太子殿下のお妃様ってあんな感じだったんだ?


何故だかわからないけど目が合ったらむっちゃ微笑まれたので俺も微笑みかえしておいたら王太子におもいきり睨まれたでござる。人妻にはよほどのことでもない限り手は出さないとあれほど・・・よほどのことがあったら王族であろうと手をだす人間は睨まれても仕方がない?確かに。

お妃様、見た目だけの評価は『地味子三号』って感じ。

いや、三号はよろしくないな。だって一号と二号はうちに住み着いてるし。

『地味子王族タイプ』と呼ぶことにしよう。

聞いたところによるとお父上は都貴族の侯爵様、南都まわりの貴族を処理する時に合ったことのある人とのこと。なんとなく顔は覚えてるような忘れてるような。

まぁ今、少し離れた所に立ってるおっさんなんだけどね?


そして他にももう一人、王様と一緒に出てきた人間がいるんだけど。

俺の記憶には『戦争終結後の出迎えでとても感じの悪い態度だったおばさん』としかインプットされていないんだけど・・・確か王妹殿下だったはず。

まぁ今後の生活には何の関係もなさそうなおばさんだしどうでもいいな。

王様、もちろん出てきてそのまま帰るなどということはなく、そこから一年を振り返り話し始めるわけで。


あいかわらず話が長いので要点だけまとめると


・娘が嫁にいった。

・戦争大変だった。

・南都が出来た。


以上であ・・・


「さて、ブリューネ侯爵、ラポーム侯爵、前へ!!」


れ?なんかいきなり呼び出されたんだけど?何の話?正直こう言うサプライズ的なものって今まで碌なことがなかったんだけど・・・マルパパの方をチラッと見るとかなり微妙な顔をしていた。

うん、やはり碌なことじゃなさそうである。渋々ながらも国王陛下の前に進み出て膝をついたので俺も半歩遅れていっしょについていく。


「ブリューネ候マルケス」

「はっ!」

「これまでの忠勤、そして港町エルドベーレの開発及び海軍の増強、誠にあっぱれである!卿の働きに報いるため、その長男に我が妹マルガレーテを降嫁させ、その家格を公爵家と改めることとする!また、その長男、フロランタンには新たに伯爵家当主の位を与えるものとする!」

「はっ、国王陛下のご温情、臣マルケス、謹んで拝命させていただきます!」


ああ、なるほど。そういう感じのあれか。陞爵するのにあまり喜んでなかったのはあのおばさんのせい・・・そして俺に伝わってなかったのは俺が嫌がって逃げるとでも思われていたからだろう。

いや、さすがにここまできてそれくらいのことで奥さん全員連れて出奔とかしないからね?

そしてブリューネ家のご長男の名前が美味そうな雰囲気を漂わせている件。

てかご長男とあのおばさんって結構な年の差だよね?

見た感じだけでもひとまわり以上違うよね?

それに新しい伯爵家ってどう考えても隔離されてるよね?


「ラポーム侯ハリス」

「はい」

「昨年より始まる竜退治、多数の迷宮制覇、皇国よりの間者の捕縛、帝国軍の迎撃、王国軍の救援、そして南都の建設。その功績、これまでの王国貴族の働きと比較すれども類を見ぬものである!卿の働きに報いるため「わたしが嫁にいくのよ?」・・・えっ?いや、マリンシア?」


トコトコとかけてきたかと思ったら片膝をつく俺の背中にポスッと乗っかり背中から手を回してくるちびシア殿下。


「殿下、私はすでに姉上を娶らせていただいておりま」

「わたしが、嫁に、いくのよ?・・・いくのよ?」

「ずるいのです!それならミーナもいくのです!」

「えっ?そ、それならわたくしも嫁にまいります!」

「わたくしもいきたいです!」


こちらもかけてきたかと思ったら俺の顔を抱え込むように抱きしめるヘルミーナ嬢。

幼女の胸に顔をうずめるとか非常に世間体が悪いので止めてください。

てかつられたようにこっちに駆け寄ってきた数十人の幼女、これはそういうチャンスタイム的なものじゃないから!親御さんも背中を押さないように!

何事かとポカンとしていた大広間にドッと笑い声が起こる。

あと幼女にまじってる白い人とヤマナシ姉こと地味子二号、さすがにちょっと痛々し過ぎるからひかえて?地味子一号とわん子も混ざらなくていいからね?


「うん、まぁ卿の嫁については置いておく「いくのよ?」として、ラポーム家の家格を公爵家と改めることとする!」

「はっ、国王陛下のご温情、臣ハリス、謹んで拝命させていただきます!」


てか動物王国ならぬ幼女王国になってるこの状況はスルーするんだ・・・。

とりあえず身動きがとれないので一人ずつ順番に聖霊様ぬいぐるみをくばって親御さんのもとにリリースしてゆくことに。

ああ、もちろん集まってなかった子にもあげるからそんな寂しそうな顔をしてないで遠慮なく並ぶが良いのだ!

・・・いや、どうしてお嬢様方やお姉様方、あまつさえおばさんやおじさんまで並んでるのかな?これはお子様用・・・まぁ年末だしたまにはいいか。



ちなみにその日の夜は王城で俺と家族も全員でオールナイト・・・とはならず


「ハリス、ミーナはそろそろおねむなのです。でもひとりで帰るのはさみしいのでいっしょに帰ってほしいのです。よふかしすると母体にさわるのです」

「そうですね、姪御に寂しい思いを・・・いえ、少しお待ちを、母体とはなんですか母体とは?コーネリウス様、その『こいつ、やっぱり・・・』みたいな顔はおやめください、完全に無実です、言いがかりです、俺は何もやってません」


これより家族会議を開くというていでキーファー家一同・・・のみならずヴァンブス家、そしてブリューネ家の面々も俺の家に帰宅することに。

どうやら全員夜は普通に風呂に入って寝たいらしい。料理も微妙だったもんね?

いや、それならそれで妙な小芝居してないで普通に帰ればいいじゃん・・・。



全員が帰宅した後の広間に


「えっ?まさかのおいてけぼりかよ!?」

「おいてけぼりというか連れてきたことを忘れられてるんだと思うけどね?」

「わしも一緒に帰りたかった」

「「陛下!?」」


放置されたおっさんとエオリアと王様だった。


―・―・―・―・―


いきなりですがここに来て2つほど変更点ががが・・・

・『フリューネ』→『ブリューネ』

もともとはブリューネだったのにいつのまにはフリューネになっててそのままだったのをもとにもどしました♪

・『精霊様』→『聖霊様』

精霊様のえらい人ってことで聖霊様に変更いたしました♪

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る