南の都編 閑話 久々のメイドさんのお茶会

ここは王都のキーファー公爵邸・・・の使用人用の食堂。

仕事終わりのメイドさん達がいつもより大勢集合していた。


「それでそれで!ハリスさん・・・じゃなくてラポーム侯爵様の新居はどんな感じだったの!?」

「ちっ、あの日あの時あのくじ引きで右隣を引いてさえいれば!」

「いや、お家どうこうよりも集まられた方々にまず驚いたわよ。国内の大貴族様勢揃いな上に国王陛下や王太子殿下までいらっしゃるなんて聞いてなかったわよ」

「なにそれ立ってるだけでも緊張で朝ごはんリピートしちゃいそう」

「キラキラするんじゃなくおかわりしちゃうんだ!?」


「おうちはね、もう凄いとしか言えない感じでした!あとご飯がとても美味しかったです!」

「あんたは本当に元気だったわよね。て言うか一応あんたもいいとこの子なんだからお嬢様方がおやつを召し上がったあとのお皿に付いたクリームを物欲しそうに見つめるのは止めなさいよね」

「気持ちはわかるけどね?侯爵様お手製のなんかこう白いふわふわした・・・ああ、あれがいただけるならこの身を捧げても・・・」

「むしろ何もいらないから抱かれたい・・・もうね、お嬢様と侯爵様の逢瀬のせいで欲求不満が満タンのままなのよっ!」


「あの頃は凄かったわよね・・・いや、もう、あの愛らしいお顔から想像しようがないほどの絶倫ぶりを発揮するとか・・・流石は我らのハリス様・・・」

「今はソレに関してはひとまず置いといて!色んな意味で食堂が女っ臭くなっちゃうからっ!お屋敷のお話の続き続き!」

「お屋敷かぁ。新侯爵邸、他の貴族様のお屋敷とは違いすぎて説明のしようが無いのよねぇ。何なのあの金ピカのお部屋、普通に考えれば悪趣味全開のはずなのに妙に落ち着く不思議」

「確かに。掃除の仕方とかも全然違うもんね?金の大広間だけじゃなく全館に渡り敷き詰められたあの毛足の長い絨毯・・・あそこに何か零したりしたらと考えただけで震えるわよ?」


「私はあの制服、メイド服をずっと着てたい。物凄く可愛いし着心地もいいし動きやすいし」

「確かにあの服は凄かったよね?間違いなくそこらへんの貴族様のドレスよりも高いと思うもん。服って言えばドーリスメイド長。完全に着こなしててカッコいいやら美しいやら」

「メイド長はメイド服よりも下着姿が・・・お風呂の時にガン見したけど女でも襲いかかりそうになるほどの色香だったよ?」

「いや、さすがにそれは色々と溜め込み過ぎじゃないかしら・・・奥様やお嬢様の下着もだけどあれも侯爵様お手製なのよね?いったいハリス様は何を目指されてるのかしら・・・」


「て言うかあのお風呂も凄いとしか言いようがなかったよね?使用人風呂に仕事中以外だったらいつでも自由に入っていいとか天国だと思う。置いてあったタオルとかバスタオルも侯爵様が使ってらっしゃるものと同じのだったし」

「お手洗いもお嬢様の部屋にある特別製のやつがお屋敷内完備だったでしょう?トイレットペーパーだけでも凄いのに、あんなの使っちゃったら元の生活には戻れなくなっちゃうわよ」

「いつでもお風呂入り放題ってすごいわね!?どれだけお金かかるのよそれ・・・もちろん水じゃなくお湯なのよね?」

「かけ流し?でお湯がずっと湯船から溢れ出してたよ?お金かかってるって言うならやっぱり金で出来た部屋じゃないかな?いや、それよりもガラスかな?お部屋に取り付けられてる窓だけじゃなく床から天井近くまでの大きさがあるやつまで完全に透明だったんだけど。あんなのお金があっても買えるものじゃないでしょ・・・」


「いやいやいや、さすがにそれは嘘でしょ?そんなに大きなガラスとか重さだけで勝手に割れちゃいそうだけど?もしも拭いてる時に割れたりしたら・・・ハリス様に折檻されちゃうのかな?こう、メイド服を捲くりあげられて後ろからお尻をひっぱたかれたり」

「私も自分で見て無ければ絶対に信じないわよ。明かりも蝋燭や油を使ってるものなんて一つも無くて全部魔道具だしさ。厨・・・侯爵様はキッチンって呼んでらっしゃったけどそこにあった魔道具も凄かったわよ?何に使うのかはよくわからなかったけど」

「あんたはもっと料理を覚えたほうがいいわよ?在宅時には侯爵様ご自身でほとんど毎日お料理なさるみたいだけど」

「使用人の部屋まで明かりの魔道具が置いてあったもんね。ベッドは柔らかいわお布団は柔らかいわ毛布はふわふわだわ室内はどこでも常春だわ」


「何なのよその室内が常春って・・・天国かなにかなの?」

「そういえばお屋敷の中、どこでも朝昼夜問わず寒くも暑くも無かったよね?季節的に暑いってことはもちろんないだろうけど」

「それも全部魔道具で調整してるらしいよ?もちろんそんな魔道具聞いたこともないんだけど」

「ハリス様、ご自分で魔道具をお作りになられるからなぁ。パンツから魔道具まで」


「魔道具どころかあのお屋敷自体ご自分でお建てになられたんでしょう?普通あの規模のお屋敷を建てようと思ったら何年かかるのやら・・・」

「やっぱりメイドの募集とかされるのかな?それともうちからの派遣になるのかな?」

「まずは奥方様になられる方のお宅から何名かずつ派遣になるのではないかしら?いきなり知らない人間を集めることはないでしょうし」

「今回派遣されたメンバーは余程の失敗でもしていなければお嬢様のお嫁入りの際、希望者はそのままあちらでお迎えしていただけるんじゃないかな?」


「くっ!!・・・いや、まだだ、まだチャンスはあるはずっ!!」

「侯爵様ってお嬢様がお屋敷にお迎えしてからまだ1年なのよね。その時はただの側仕えって話だったのに今では侯爵様」

「王女殿下が降嫁されたら公爵様になられるって話もあるし新しく南都が建設されてそこを任されるとか」

「若い、可愛い、男前。優しくて包容力もあるし何より性豪!」


「いや、性豪はどうでも・・・うん、淡白よりはいいわよね」

「でも奥様になられる方が錚々たるメンバーすぎてワンチャンあるとすら思えないという・・・」

「「「はぁ・・・」」」


などとため息をつきながらも『でも自分ならもしかして?』と思っているメイドさん達であった。


―・―・―・―・―


くっ、皆様のご指摘通りリバースがリピートになってる・・・でもそのままの方が何となく面白い・・・よし『最初からリピートで狙ってましたよ?』的な顔をしておこう!

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