新しい同居人編 その13 新型の馬車!・・・馬車?

何と言うかこう、想像以上にタイトなスケジュールを組まれてしまったでゴザル・・・。

いや、まぁ年度末だし?気分的に今年中に片付けてしまいたいのもわからないではないけどさ。

てことで翌日さっそく西都に向けて出発する予定をヴァンブス公とたてる。

ああ、今晩からそちらのお屋敷でお泊りして朝から出発すると。

いや、行きませんけど?普通に王都の城門前で待ち合わせでお願いします。


もちろんキーファー家でもお泊りはしないからね?

『こんなとこで寝てられるか!俺は部屋に帰らせてもらう!!』と某探偵さんが出てくるマンガの様な捨て台詞を残して屋敷に帰る俺。

朝になったら虐殺されてる奴の捨て台詞だなコレ。

犯人?候補になりそうな人が多すぎてツライ・・・。


「てなわけで少しの間留守にすることになった」

「どう言うことよ・・・」


困惑顔のヴィオラ嬢。そこは二度手間になるからカクカクシカジカで理解してくれよ。


「西都までの旅か。しかし馬車の旅なのだろう?御者は居るのか?と言うよりそもそも馬車はあるのか?」

「馬車は何故か公爵邸に用意されてるのが1台ある・・・んだけど御者さんの事はまったく頭になかったなぁ・・・さすがにじーちゃんを貸してもらうわけにはいかないし・・・どうしよう?」

「はい!!私、これでも馬車の操縦は出来ません!!」

「出来ないならなぜアピールしたのかな?」

「フッ、なら仕方ないな、私が一緒に行ってやろう。一応一通りは動かせるからな」


確かにメルちゃんは『操車スキル』がランク2あったもんね。てか今はそれ本人は知らないけどランク5になってるんだよね。


「すまないけどお願いしてもいいかな?じゃあサーラ嬢はお留守番・・・いや、何でそんなに愕然とした顔になってるんだよ」

「ですが閣下、メルティスさんより私の方がおっぱいが大きいですよ?」

「それと馬車の操縦に何の関係があるのかな?」

「あとお尻も少しだけ大きいです!」

「うん、それも関係ないね?」


この子は俺が同伴させる人間を選ぶ基準を何だと思っているのだろうか?

てかさ、馬車の旅・・・あんまりしたくねぇなぁ・・・。

そこそこのんびりしたフィオーラ嬢との北都から王都までの旅ですら今から思えば辛かったもん。


・・・やっぱりあれだよね?ここは馬車の改造をするしか無いよね?

いや、そもそも馬車である必要性はあるのだろうか?

そう、この世界には『魔道具』などと言うものがあるんだしさ。

そしてちょっとくらい目立ってもダブル公爵家(プラス侯爵家)の威光で誤魔化せるんじゃなかろうか?


てことで魔導板さんで設計画面を開く。

実は少し前に『タイヤ』に出来そうな素材を手に入れてあるんだよ。

少しくらい剣で斬りつけてもびくともしない耐久力があり、それでいて弾力性も十分で・・・腐らない。

最後の『腐らない』でビックリするほど不穏な空気が醸し出されてたな。

そう、もうみなさんお気づきのアレである。


『黒竜のお肉』


えっ?ドラゴンの肉なのに食わないのかって?

そもそも『普通に加工が出来ないうえに腐らない』とか言うちょっと訳の分からない素材なんだよ?それは果たして食材と言えるのだろうか?

ちょっと夜中にタイヤから「コロシテ・・・コロシテ・・・」とか聞こえそうだけど大丈夫だと思おう。


本体は御者台・・・じゃなくて運転箱?運転室?を広めにとって真ん中に設置。

一応狭いけど2人並んで座れるようにしとかないと運転手さんが寂しいか。

操縦は普通にハンドルでアクセルとブレーキのみでギアはない。あ、駆動にはもちろん魔水晶を使用する。

タイヤ部分は外に飛び出させて上に馬の模型の様なモノを被せる。

ギミック的には『バイクに鉄の馬を被せた様なモノ』と言えば良いのかな?それを両側に設置する。


タイヤの回転で馬の足が連動して上げ下げするからスピードを出すと足をむっちゃ早く動かして走ってるように見える。

絵面的には物凄く面白いか物凄く気持ち悪い動作だと思う。

その後ろに本体部分、こっちは車の後部座席の様な作りで広めの2人席の3列シートでゆったりと。荷物は後ろと底部にトランク部分を作れば大丈夫だろう。

例えるならちっさい電車みたいな感じか。


でもどんなにいいタイヤを付けてもどんなにサスペンションを良くしても道がなぁ・・・悪いとか悪くない以前にほぼ石畳も敷かれてないからなぁ・・・。

あれだな、本体部分、この際ちょこっと浮かしちゃう?懸架式馬車みたいな感じに見せかけて。その分軽くなるから積載量も増えそうだし。

あ、冬だし暖房と言うか普通にエアコンも付けないと長時間の移動は辛くなるな。武装は・・・そのうちでいいか。


・・・

・・・

・・・


てことで完成したのが『2頭引きの馬車っぽい見た目の8輪車』である。

コクピット部分は見晴らしが良いように少し高めの位置になっている。

うん、横に取り付けた『馬の模型』が非常に邪魔なんだ。

カラーリングは高級感を出すために馬も含めてメタリックな感じに輝く黒でまとめてみました。

そしてこの二輪の馬の部分、独立させて一人乗りのバイクにしても良いかもしれないな。




「では行ってきます?」

「待て、色々と聞きたいことが有りすぎて頭が追いつかん」


翌朝早く、公爵宅の玄関前に昨日作った馬車を出して出発しようとする俺を引き止めるガイウス様。


「まず・・・その黒い得体のしれないモノはなんだ?」

「馬車ですが」

「では・・・その黒い得体のしれないものはなんだ?」

「メルティス嬢ですが」


てかメルちゃん、運転しにくいからそれ(黒竜鎧)脱いでね?大丈夫、はめ込んでるガラスは全部防弾ガラス程度の強度はあるから。凍らせた七面鳥を大砲でぶつけでもしない限り壊れないと思う。

あまりヴァンブス公を待たせるわけにもいかないので「また帰ってからお話しようね?」って感じでガイウス様を放置。

ちなみに席に乗り込む時は後部車両から乗り込まないといけないのでボチボチ面倒だけどな。

ほら、馬がね、邪魔なんだよ。


「じゃあメルちゃん、操縦よろしく!」

「無理に決まってるだろうが!!」

「えー・・・昨日御者出来るって言ったじゃん」

「逆にどうしてお前はこれが馬車で通ると思った?」


だって馬が牽いてるじゃん?その為の外装(馬の模型)じゃん?

仕方がないので俺が運転席でメルちゃんを助手席に乗せる。ちゃんと見て覚えてね?

・・・もちろん俺も車の運転なんてゲームでしかしたこと無いけどなんとかなるだろう。形も操作感もゲーセンの大型筐体みたいなもんだしさ。

一応操車スキル取っとくか・・・。


王都の城門前で今度はブルートゥス様(ヴァンブス公、ヴェルフィーナ嬢のお父さん)とも似たような会話をして出発。


え、こっちに乗りたいの?

俺、しばらくはメルちゃんにコレの操縦方法を教えたいから前(運転席)に乗らないといけないのでお構いとか出来ませんよ?構わない?ならどうぞ・・・。

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