説明回 その1 貴族と名前とエトセトラ

※読み飛ばしていただいても支障はない・・・はず?


タイトルのまま

『そこまで重要じゃないけど知ってたら何となく得した気分になれる!』

・・・かもしれない説明の回です。


―・―・―・―・―


 さて、ここで先程放置した『都貴族』のお話、いや、この国の貴族全体の説明をしておこう。

 まぁ現状ど貧民の俺には何の関係も無いんだけどさ・・・一応・・・ね?


 まずは貴族の階位。


 こちらはよく聞く感じの五爵『公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵』プラス、こちらも何故かよく聞く『准男爵、士(騎士)爵、准士爵』。

 もちろんてっぺんに『王族』が居るので九つの階級がある。


 その中でも『公爵、侯爵、伯爵』は上級貴族、『子爵以下』は下級貴族、『准士爵』は国に貢献すれば(要するに金だな。本当の意味で貢献しているなら准男爵位が貰えるし)誰でも貰える一代限りの爵位の為『名誉貴族(またはエセ貴族)』とも呼ばれる。

 国(世界)によっては『子爵以上』が上級貴族の場合も多々あるし准男爵以下の爵位の呼び方や扱いが変わってくるのであくまでも『この国の話』だけど。


 次に『都貴族』と『地方貴族』。


『都貴族』とは、簡単に言えば『王家が叙した貴族』の事である。

 領地持ちも居れば俺の元実家みたいな内政官僚の法服貴族、軍務に従事する帯剣貴族もいる。


 それに対して『地方貴族』。

 こちらは『王家以外の領地持ちの上級貴族が叙した貴族』だな。

 自分の爵位より二つ下(公爵なら伯爵まで、侯爵なら子爵まで、伯爵なら男爵まで)任命可能であるがもちろん人数制限がある。

 ああ、もちろん地方貴族にも法服貴族も帯剣貴族も居るので念の為。


『じゃあ都貴族の伯爵が叙した男爵は都貴族と地方貴族のどちらになるのか?』


 良い質問です(無駄に偉そうだな俺・・・)。

 答えは『都貴族は上級貴族でも叙爵権が無いので任命出来ません。でも王家に上奏することが出来ます』

 つまり都貴族になるわけだな。


 呼ばれ方の違いはないが『公爵が叙した男爵』と『侯爵が叙した男爵』と『伯爵が叙した男爵』の地方貴族は同じ爵位であっても『王家が叙した男爵』よりも格が一枚落ちる。

 まぁそれで地方貴族の伯爵が都貴族の伯爵に馬鹿にされるのかと言えばそんなことは『ほとんど』ないんだけどさ。


 だってそんなことしたら寄り親にまで喧嘩を売ることになるからね。あくまでも『王家の方が偉いんだぞ!!』って言う建前なのである。

 もちろん建前ではあってもそれを弁えていない人間(地方貴族)は『常識のない馬鹿者』として他人に眉を顰められるが。

 そしてそんな人間は村八分ならぬ国八分にされて消え去っていくのである。



 簡単に貴族の説明をしたのでついでに『名前』の話。


 平民に関しては簡単なもので『(所在地)(職業)(名前)』が基本である。

 所在地に関しては村な町ならそのまま村名や町名、大きな街なら通りの名前や目立つ建物などなど。


『ナントカ村の農家のゴンベイだがや』とか『プリメルの北門近くの宿屋のハナコなのです』とか。


 俺だと『プリメルのエタン教会の孤児院で世話になってるハリス』だな。うん、無駄に長いな。

 もっとも普通に自己紹介する時は『孤児院のハリス』なんだけどね。シーナちゃんなら『孤児院のシーナ』だ。二人共無職だから。

 ちなみに呼ばれる時は普通に『ハリス』と『シーナ』だ。『おい』とか『そこの』とか『気持ち悪いの』とかもあるけど普通は名前だけ。


 そしてこれが貴族様になると『(名前)(父親の名前)(所在地)(家名)(当主の場合は爵位)』となる。

 正式な挨拶の時は追い出される前のハリス君だと


『ハリス(名前)・リーオス(父)・バーム(キルシュバームの短縮形、都貴族は全員これが付く)・ポウム(家名)』


となるわけだ。


 略式だと『ポウム男爵家の三男のハリスでございます』だな。呼ばれる時は(基本は)『ポウム家のハリス殿』となる。

 呼ばれ方は呼ぶ相手によって変わるので色々だけどね?女性の場合も基本は同じだ。


 平民が貴族を呼ぶ時は爵位で『男爵様』とか『子爵様』とかそのものズバリで『貴族様』だし、下級貴族が上級貴族を呼ぶ時は『(爵位)閣下』や『閣下』、見知った相手なら『(家名)(爵位)様』特に仲が良ければ(相手の許可を得ていれば)『(名前)様』と呼ぶことも。


 上級貴族が下級貴族を呼ぶ時は・・・これも色々だな。関係性とか寄り子かどうかとか。

 同列に近い相手ならお互いに『(家名)(爵位)』が基本形か。面倒な時は『卿』でほとんど済ませられるので便利である。



 ああ、一応俺が世話になってる孤児院の運営母体である『エタン教会』の事もさらっとだけ。


 この国(と言うかこの大陸?)で大きな勢力を持っている宗教団体の一つ。

 昔は『光神教』って言う一つの組織だったらしいけどよくある内部抗争の結果『エタン教』『エクラ教』『ルフレ教』の三つに別れたらしい。


 各団体は殺し合いをするほどに仲が悪いわけでもないがお互いに助け合うほどに仲が良くもない(あくまでも建前上は)。

 まぁ宗教に関わっても碌な事になりそうもないので距離を置くに限るのはどの世界でも同じなんだけど・・・勢力的には無視できないのが厄介なところ。

 もっともただの孤児の俺には現状何の関係も無いのも確かなんだけどね?



 最後に今の季節などなど。


 この国(と言うかおそらく近辺の国々も?)では『ひと月は30日、一年は12ヶ月で360日』となっている。

 一週間(七日)と言う区切りはなく十日が三回でひと月だな。

 最初の十日が『上子月かみこづき』以下『中子月なかこづき、下子月しもこづき』と続く。


 季節も『花(3月~5月)実(6月~8月)穂(9月~11月)種(12月~2月)で季節ごとに上中下の三ヶ月』でわかれており、4月の13日なら『花中月の中子月の三の日』となる。

 ・・・が、俺は面倒なので4月の13日で行こうと思う。もちろん他の人と話す時はちゃんと『花中月の中子月の三の日』って言うけどさ。

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