東の果て編 その7 こちらで用意する!次!
それが終われば次は
『領民全員を海辺(塩作り)と新しく広げる平地(農作業)の二箇所にわけて集める』
と言う話。バラバラに遠い所で住まれたら不便だし不用心だからね。人数が少ないのにそんなことされたら配給もままならないのだ。
とりあえず直ぐにしなければいけないのはこの2点。
「三日以内に完了させる予定だ。何か疑問のあるものは挙手・・・手をあげろ!」
「えっと、あの、す、住む所は・・・」
「こちらで用意する!次!」
「食べるもの、いえ、そろそろお塩も無くなるんですが・・・」
「こちらで用意する!次!」
てな感じで殆どの質問の答えが『こちらで用意する!』になったのは言うまでもない。
ちなみに新しい名簿に登録された住民数は『26家族103名(うち10歳以下44名) 海側10家族(38人)、陸側16家族(65人)』である。はてさて、どれくらいの領民が残るのか・・・。
明日からは家の建て替えをしないといけないな・・・今のうちに空き家と粘土の回収をしておくか。
その日はとりあえず全員に二日分程度の食料を分配して帰らせた、
そして領民の引っ越し完了まで・・・二日。頑張った、むっちゃ頑張ったよ俺。煉瓦製の建売住宅26軒と銭湯二軒(海側と陸側)建てたもん。
銭湯はそんなに大きなやつじゃないけどさ。男湯と女湯は一日交代で入れ替えだし。まぁ無料なんだから文句は出ないだろう。
てか住民、最低でも三割くらいは脱落すると思ってたのに全員残った。おそらく前の領主の名声のおかげだろうと思われる。そしてどんどん従順になってきてる。恐怖政治最強。
建設が終われば次は・・・そう、またまた食料の配給である。てかそこそこ大量に時空庫に入ってはいるがさすがに100人の人間を食べさせるような予定は無かったので保っても一週間だ。むしろ先に二日分配ったので残り5日分あるかどうか。
塩はまぁ海があるのでとりあえずはスキルで作って配っておく。
あ、海側の住民、勝手に漁に出ようとするんじゃない!!年寄り子供でどうにかなると思うなバカ。
お前らは縄文人レベルの生活環境しかないんだから貝塚でも作ってろ。
こら、陸側の住人、適当に耕そうとするな!!区画整理と土壌改良しながら均していくから。
・・・何にしても早急に、むしろ明日朝一番にでもエルドベーレ(最寄りのデカイ港町)まで出掛けないとならんな。
「てなわけで幼女、明日は朝から出かけるぞ」
「ん?行ってらっしゃい」
「お前も行くんだよ!!そもそも俺じゃそこの伯爵様に会えないだろうが。それなりに信用できる商会とか探さなきゃいけないしいろいろ使わなきゃいけないんだからちゃんと挨拶しとけよ?」
「わ、わかったわよ・・・でも私も伯爵様になんてお会いしたことないわよ?」
「いや、一応御父君の後を継いでそこそこ経ってるだろうにそれはどうなんだよ・・・あ、ドーリスとミヅキは留守番な?いや、そんなこの世の終わりみたいな顔されても困るんだが。人が居ないんだから仕方ないだろうが。食料は一応配給し終わってるけど何があるかもわからんからな。ミヅキは護衛だ」
「さすがにお子様に護衛して頂くというのは・・・いえ、ミヅキ様は御主人様の妹君ですものね、失礼いたしました」
「我・・・置いていかれるのか?こんな最果ての地で捨てられるのか?」
「人聞きが悪い!いや、マジでほら、従順なふりはしてるけどスキあらば反乱を起こしかねない様な連中だからな。お前しか頼れないんだから今回は我慢してくれ」
「まぁしょうがないの・・・何かの時には鏖にして良いな?」
「まったくよくないわよっ!?ハリス、ちゃんと言い聞かせておいてよね!!」
そういえば岩から出てきて(お礼参りして)からはずっと一緒だったもんなこいつ。確かに俺も寂しいって言えば寂しいような。
てか今日はフィオーラ嬢からの手紙がやけに多いな・・・あ、ガイウス公がヴァンブス公爵と話付けてくれたのか。これでこの先の食料なんかの購入資金は塩で賄えそうだな。
ご丁寧に家紋付きの証書も用意してくれたのか、いい人だなヴァンブス公爵、名前は知らないけど。なんか添えられた手紙に『婿殿と是非一度ゆっくり話がしたい』とか意味のわからないことも書いてるけど気にしない。
あ、今回からはヴェルフィーナ嬢の手紙もあるんだ?
フィオーラ嬢の手紙からは瘴気の様な物が漂ってるけど気にしない。
リリアナ嬢の手紙?アリシア王女の手紙?そんな物は見ていない、存在していないんだ。いいね?
てかなんだこの『アプフェル伯爵』とか言う聞いたことのない伯爵様の陞爵の受領書類と身分証明一式は。キラッキラした短剣とか家紋の入った旗とかどうしろってんだよ。
そもそもどうして知らないうちに叙爵されていた『子爵位』を返還したら『伯爵位』になって帰ってきてるんだよ!わらしべ長者かよ!
伯爵って公爵が任意で任命できる最高位だろうに元孤児の14歳の子供に与えるとか正気の沙汰じゃないぞ?
そしてあれだ、指輪が5つ。王家、公爵家、公爵家、公爵家、侯爵家の各家紋が入ったやつ。指が5本だから丁度いいね!って言うと思ってんのかよ!!
どう考えてもこれ婚約的なアレだよね?落として悪用されたりしたら全部俺の責任になるじゃん!!厄介なものをセットで送ってくるとか嫌がらせが過ぎると思うんだ。
大体何でキーファー公爵家のが2つあるんだよ!
あ、聞きたくないから答えはいらないです・・・。
明日はお出かけなのに軽く意識飛びそうだわ。
余談だけど随分と昔に『都貴族』の話ししたの覚えてるかな?これまですっかり忘れてたからいい機会なので簡単に説明。
『都貴族』とは、簡単に言えば『王家が叙した貴族』の事である。
領地持ちも居れば俺の元実家みたいな内政官僚の法服貴族、軍務に従事する帯剣貴族もいる。
それに対して『地方貴族』。
こちらは『王家以外の上級貴族が叙した貴族』だな。ちなみに上級貴族は子爵位からである。
呼ばれ方の違いはないが『公爵が叙した男爵』と『侯爵が叙した男爵』と『伯爵が叙した男爵』の地方貴族は同じ爵位であっても『王家が叙した男爵』よりも格が一枚落ちる。
つまり公爵家に叙されて伯爵になった俺は地方貴族なので都貴族からすれば子爵と同等なのだ。
まぁそれで地方貴族の伯爵が都貴族の伯爵に馬鹿にされるのかと言えばそんなことは『ほとんど』ない。
だってそんなことしたら寄り親にまで喧嘩を売ることになるからね。あくまでも『王家の方が偉いんだぞ!!』って言う建前なのである。
建前ではあるがそれを弁えてない人間(地方貴族)は常識のない者として他人に眉を顰められるが。
これが地方貴族の『男爵以下』になると扱いがまた変わるんだけど・・・まぁ機会があればまた今度で。
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